神奈川県警の交通取り締まり不正 警察不信を招いた重大な問題
神奈川県警が交通違反の取り締まりにおいて、約2年半にわたって不正を繰り返していたことが明らかになった。公権力の執行は信頼なくして成り立たず、警察への不信を拡大させた責任は極めて重大である。全国の警察でも同様の事例がないか、徹底的な検証を行うことが強く求められる。
虚偽公文書作成と実況見分の不備
虚偽有印公文書作成・同行使の疑いで書類送検されたのは、県警第2交通機動隊の7人である。取り締まり対象車を覆面パトカーで追尾した際、距離を水増しして反則切符に記載したり、実況見分に立ち会わないまま実況見分調書を作成したりしたとされている。
不正の中心だった元巡査部長は、「悪質な違反は取り締まって排除したかった。間違った正義感だった」や「実況見分より、1件でも多く取り締まりたかった」などと供述している。しかし、公正な手続きを無視したことを正当化する理由には到底なりえず、言語道断の行為である。
影響の甚大さと全国的な懸念
県警は2022年3月から2024年9月にかけて取り締まった約2700件の違反を取り消し、反則金約3400万円を返還することを決定した。対象者は38都道府県に及んでおり、その影響は甚大である。
交通取り締まりを巡る不正は、2023年に福岡県警でも判明し、約1600件の違反が取り消された経緯がある。発覚する事例は氷山の一角ではないかとの疑念は拭い難く、全国の警察はドライブレコーダーなどの映像技術を活用し、証拠の客観性を担保すべきである。
ノルマ主義の背景と不適切な手法
今回の不正の背景には、ノルマ主義があったとも考えられる。神奈川県警は各警察署や交通機動隊に対し、部署ごとの年間取り締まり件数の水準を通知していた。県警は「ノルマではない」と説明しているが、現場がノルマと受け止め、達成するために過剰な取り締まりを行い、不正を招いた可能性が高い。
取り締まり件数の水準を示す手法は全国でも異例であり、不正発覚後に廃止されたものの、不適切だったと言わざるを得ない。
交通取り締まりの本来の目的
交通取り締まりの目的は、事故の防止にある。重大な事故につながる可能性の高い悪質な違反こそ厳正に取り締まるべきであり、軽微な違反については反則切符制度を適用せず、指導や警告で対応することも可能である。
反則切符制度は4月から自転車にも拡大され、対象は16歳以上で未成年も含まれる。信号無視や運転中の「ながらスマホ」などは根絶すべきだが、より丁寧な対応が求められる。取り締まり自体を目的化してはならない。



