トキの本州初放鳥へ向け、3か月間の順化訓練がスタート
環境省佐渡自然保護官事務所は3日、5月下旬に石川県羽咋市で予定されているトキの本州初放鳥に向けて、18羽の候補個体を野生復帰ステーション(新潟県佐渡市)にある順化ケージに移し、野生下に近い環境での訓練を開始しました。この訓練は、飛行能力や餌取り技術を高めることを目的としており、約3か月間にわたって実施されます。
候補個体の内訳と選定理由
18羽の候補個体は、雄12羽と雌6羽で構成されています。これらは佐渡市のトキふれあいプラザや長岡市トキ分散飼育センターなど、全国7か所の飼育施設で生まれ育った個体です。いしかわ動物園(石川県能美市)出身の2羽も含まれており、1、2歳の若鳥が中心ですが、放鳥場付近にとどまることを期待して、9、12、13歳の高齢の雄個体も選ばれました。
GPS発信機の初導入で分布状況を把握
今回の放鳥では、トキの分布状況を把握するため、初めて小型の全地球測位システム(GPS)発信機が脚に取り付けられました。環境省が鳥類にこの機器を使用するのは初の試みで、太陽光電池により、位置情報が1日に1回送信される仕組みです。これにより、放鳥後のトキの移動パターンや生息範囲を詳細に監視することが可能になります。
順化ケージでの訓練内容と関係者の期待
3日には、環境省職員や新潟県、佐渡市、いしかわ動物園の関係者ら約20人が管理棟に集まり、候補個体の計測や足環の装着、羽の着色などの作業を行いました。その後、18羽は移動用の段ボール箱に入れられ、サッカー場ほどの広さを持つ順化ケージに運ばれて放たれました。ケージ内には田んぼや池など自然に近い環境が再現されており、飛行や餌取り、人なれなどの訓練が実施されます。
いしかわ動物園の獣医師、堂前弘志さん(57)は、「いよいよ放鳥に向けて走り出したなという思いです。石川の個体もおり、元気に能登の大空を舞ってほしい」と期待を寄せています。羽咋市での放鳥は5月31日に予定されており、今後訓練を始める2羽を加えた候補個体の中から最大20羽が選ばれる見込みです。
環境省佐渡自然保護官事務所の北橋隆史・首席自然保護官は、「作業が事故なく終わり、ホッとしています。本州で生きていける技術を身につけられるよう、しっかり訓練したい」と述べ、訓練の重要性を強調しました。この取り組みは、トキの野生復帰と生物多様性の保全に向けた大きな一歩となることが期待されています。
