大規模ビル建設のCO2排出量「見える化」が義務化へ 2028年度から届け出制度開始
政府は3月27日、大規模オフィスビルの建設から解体までの全工程で発生する二酸化炭素(CO2)排出量の算定と届け出を建設主に義務付ける関連法改正案を閣議決定しました。この新制度は2028年度中の開始を目指しており、建設業界全体の脱炭素化意識を高めることが目的です。
対象は5千平方メートル以上のオフィスビル 将来的に拡大も検討
今回の制度では、床面積が5千平方メートル以上の事務所ビルを対象とすることが明らかになりました。具体的な対象範囲は今後政令で定められますが、政府は制度開始から5年以内に、より小規模な建物や事務所以外の施設への対象拡大を検討する方針です。
算定方法については、国土交通大臣が策定する指針に基づいて実施されます。建設主は算出したCO2排出量の総量を国に届け出ることが義務付けられ、国側は提出されたデータを精査します。省エネルギー対策が著しく不十分と判断された場合には、必要な措置を勧告する仕組みとなっています。
建設業界の脱炭素化促進が狙い 全工程の環境負荷を可視化
この制度の最大の特徴は、建築資材の製造段階から新築・増築工事、さらには将来の解体に至るまでの全ライフサイクルにおけるCO2排出量を算定する点にあります。従来の省エネ基準が運用段階のエネルギー消費に重点を置いていたのに対し、新制度では建設そのものの環境負荷まで視野に入れた包括的なアプローチを採用しています。
政府関係者は「排出量の『見える化』を通じて、建設関係者の脱炭素化への意識改革を促したい」と述べており、環境配慮型の建築材料の採用や工法の見直しなど、業界全体の変革を期待しています。この取り組みは、2050年カーボンニュートラル実現に向けた重要な施策の一つとして位置付けられています。
建築業界からは「算定のための新たなコスト負担が懸念される」との声も上がっていますが、環境省と国土交通省は、算定手法の標準化や支援策の検討を進め、事業者負担の軽減に努めるとしています。今後の国会審議では、対象範囲の適切性や算定方法の実効性などが議論される見通しです。



