クマは栄養状態良くても人里に出没する、島根県の研究が従来の見方を覆す
クマは栄養良くても人里に出没、島根の研究が従来見方覆す

クマは栄養状態良くても人里に出没する、島根県の研究が従来の見方を覆す

クマは栄養状態が良くても人里に出没する――。島根県中山間地域研究センター鳥獣対策科の沢田誠吾科長らの研究チームが、こうした調査結果をまとめた。環境省の専門家会議「クマの保護管理検討会」で委員も務める沢田科長は、栄養不足だから出没するという一般的な見方を覆す結果だとしている。

研究チームによる詳細な調査と分析

研究チームには沢田科長のほか、東京農工大学の小池伸介教授らが参画。2003年から2018年までの期間、島根県内を対象に集落の近くで捕獲されたり、交通事故で死んだりしたツキノワグマ651頭の脂肪量を計測した。

その結果、秋の主食であるドングリが凶作だった2004年、2008年、2010年、2016年のいずれも10月でみると、内臓脂肪率は平均40%で、栄養状態が良好だとされる35%を上回っていた。5月も40%で、12月は60%に達していた。豊作・並作の年では、12月が50%だった。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

冬眠前の脂肪蓄積が行動に影響

沢田科長によると、クマは栄養状態が良くても、冬眠までに少しでも脂肪を蓄えようと食べ物を探し続ける。食べ物があるから人里に出てくるという。

一方で、栄養状態の良いクマは、食べなければならないという切迫性は低い。沢田科長は「人里に食べ物がなければ、クマにとって出没のメリットはない。放置果樹の伐採などを徹底すれば、出没を減らせる」と分析している。

凶作年と豊作年の脂肪率の比較

今回の調査では、凶作の年に人里に出没したクマの内臓脂肪率が、豊作・並作の年より高いことも判明した。ドングリ類は凶作年の前年が豊作・並作となることが多い。

沢田科長は「前年秋に蓄えた脂肪は1年かけて使われる。凶作年の内臓脂肪率が高いのは豊作・並作だった前年に多くの食べ物を摂取できたためだろう」と推測する。この発見は、クマの生態と人里出没の関係をより深く理解する手がかりとなる。

この研究は、クマ被害対策に新たな視点を提供し、従来の栄養不足説に基づく対策を見直す必要性を示唆している。地域社会では、放置果樹の管理や生ごみの適切な処理など、人里に食べ物を残さない取り組みが重要だと指摘されている。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ