連載「8がけ社会」では、人口減少に伴い、一人当たりのごみ処理コストが上昇する問題を追っている。第3回は、老朽化が進むごみ処理施設の現状と、解決策として注目される広域化の課題を探る。
老朽化する塩釜市清掃工場
宮城県塩釜市の清掃工場は、1976年に稼働を開始し、現在も市内全域の可燃ごみを受け入れている。煙突には亀裂が走り、焼却灰を運ぶコンベヤーは赤茶色にさびつくなど、老朽化が深刻だ。焼却施設の耐用年数は20~30年とされるが、50年にわたって稼働を続けている。
膨らむ維持費と断念した建て替え計画
市は老朽化した工場を維持するため、毎年多額の費用を投じてきた。2021年度には6500万円、22、23年度には1億円を超える臨時的経費を改修に充てた。2023年9月には施設建て替えの基本構想をまとめ、埋め立て処分場などの整備を含め、総事業費168億円の計画を策定。しかし、建材費の高騰や円安の影響で、着手から1年で費用は220億円に膨らみ、市は2025年に計画を断念した。
広域化への模索
市が次の一手として掲げたのが、ごみ処理の広域化だ。複数の自治体で共同処理することで、コスト削減や効率化を図る。しかし、広域化には施設の立地や費用分担、住民の理解など、多くの課題が残る。市は「広域化以外に選択肢はない」とし、近隣自治体との調整を急いでいる。
持続可能なごみ処理を目指して
人口減少が進む中、ごみ処理施設の維持管理は自治体にとって重い負担となっている。塩釜市の事例は、全国の多くの自治体が直面する課題を浮き彫りにしている。持続可能なごみ処理を実現するためには、広域化や新技術の導入、住民との協力が不可欠だ。
本連載では、今後も各地の取り組みを紹介し、解決策を探る。



