人口減少と高齢化が同時に進行する「8がけ社会」において、ごみ処理の持続可能性が深刻な課題となっている。各地で試行錯誤が続く中、鹿児島県大崎町は「徹底した分別」によって活路を見いだそうとしている。本連載「8がけ社会 ごみのゆくえ」では、ごみ処理の未来を探る。
リサイクル日本一の町の取り組み
九州最南端の大隅半島に位置する鹿児島県大崎町。2月下旬の平日、役場支所の一角にごみ袋を抱えた住民が集まっていた。そこには11個のコンテナが並び、「無色ビン」「茶色ビン」「割りばし・串」など細かく分類されている。空き缶は指定のごみ袋に入れるが、ふたは「雑金属」のコンテナへ。住民は持ち込んだごみ袋の口を開け、中身を資源ごみ回収用のコンテナに振り分けていく。
町にはごみを28分類する細かなルールが存在する。ルールが浸透していない移住者がいる地域では、自治会メンバーがごみ捨て場で直接指導することもある。近くに住む83歳の女性は「初めは分からないことも多くてまごついたけど、今はもう慣れた」と話し、手慣れた様子で丁寧に水切りした生ごみを指定のバケツに放り込んだ。
危機感が生んだ発想の転換
町が全国有数の徹底した分別に踏み切った背景には、ごみ処理が行き詰まる未来への強い危機感があった。焼却処分場がない町では、資源として再利用しないごみはすべて処分場に埋めてきた。1990年に埋め立て処分場を近隣2自治体と合同で増設したが、ごみの排出量が想定を上回り、稼働から数年で「あと10年ほどで処分場が満杯になる」との試算が出た。
処分場を増やすか、焼却施設を造るか――。「迷惑施設」と言われる焼却施設の新設に住民の理解を得るのは容易ではなく、巨額の建設費や維持費を捻出する余裕もなかった。そこで町が選んだ第三の道が、徹底した分別によるリサイクル率の向上だった。この発想の転換が、危機を転機に変えたのである。
徹底した分類がもたらしたメリット
大崎町の取り組みは、単にごみの量を減らすだけでなく、資源としての価値を最大限に引き出すことにつながっている。28分類という細かな分別は、住民の負担を増やす面もあるが、リサイクル率の向上や処分場の延命に大きく貢献している。町は今後もこの取り組みを継続し、持続可能なごみ処理システムを目指している。
8がけ社会における教訓
人口減少が進む中、ごみ処理にかかる1人当たりのコストは上昇している。大崎町の事例は、限られた資源の中でいかに効率的にごみ処理を行うかという課題に対して、一つの解決策を示している。徹底した分別によるリサイクルは、処分場の延命だけでなく、環境負荷の低減にもつながる。他の自治体にとっても、参考となるモデルケースと言えるだろう。



