出雲市で2027年6月にトキ放鳥実施へ 西日本初の試み
環境省は、島根県出雲市におけるトキの放鳥時期を正式に決定した。2027年度上半期の実施が確定し、具体的には2027年6月上旬に稗原地区で最大20羽のトキを放つ計画である。これは本州では石川県羽咋市に次ぐ2例目、西日本では初めてのトキ放鳥となる歴史的な取り組みだ。
有識者会議で計画了承 環境省が正式決定
2026年2月9日に東京都内で開催された「トキ野生復帰検討会」において、出雲市が提案した放鳥計画とモニタリング計画が了承された。環境省も同日、2027年度上半期の放鳥実施を正式に決定。これにより、出雲市は具体的な準備段階に入ることとなった。
稗原地区が放鳥候補地に選定された理由
出雲市は最初の放鳥候補地として稗原地区を選定した。この地区には里山やトキの餌場となる水田が広がり、環境に優しい農業が推進されている。さらに、地域住民が手がけたビオトープや土水路「え」が整備されており、冬場でも餌が確保できることが適地と判断された主な理由だ。
放鳥時期については、餌が豊富な季節の方が生存率が高まることから、6月上旬が目指されている。放鳥個体は新潟県佐渡島の施設で約3か月間、飛翔能力を高め、人間に慣れさせる訓練を受ける予定だ。同施設の収容規模が最大20羽であるため、放鳥羽数も同数に設定された。
2種類の放鳥方法を併用
初回の放鳥では、仮設ケージを開けて自然に飛び立つのを待つソフトリリースと、現地に運んだ箱から直接放つハードリリースの2種類の方法を併用する。ソフトリリースはトキが放鳥場所に留まりやすい利点がある一方、ハードリリースは式典を通じた普及啓発活動に適しているとされる。
モニタリング体制の整備計画
放鳥後のトキの生存状況や分布を把握するためのモニタリング体制は、2027年1月をめどに整備される。市内の鳥類専門家を中心とした体制が構築され、目撃情報を収集する専用サイトや窓口も設置される予定だ。
飯塚市長「環境に優しいまちづくりを推進」
飯塚俊之出雲市長は「トキの定着には餌場の確保を広げていく必要があり、市民の皆様の協力を呼び掛けたい」と述べた。さらに、「トキを象徴として環境に優しいまちづくりを進め、付加価値の高い米やトキ関連商品の開発を通じて、農業や産業振興にもつなげていきたい」と今後の展望を語った。
出雲市のトキ分散飼育センターでは現在もトキが飼育されており、2027年の放鳥に向けた準備が着実に進められている。この取り組みは、絶滅危惧種の保護と地域活性化を両立させるモデルケースとして注目を集めている。



