賀茂川のオオサンショウウオ在来種が0.1%に激減、交雑個体が98.9%を占める
国の特別天然記念物であり固有種であるオオサンショウウオについて、京都大学や滋賀県立大学などの研究チームが衝撃的な調査結果を発表しました。外来種との交雑が初めて報告された京都市の賀茂川水系において、在来種がほぼ絶滅状態に陥っていることが明らかになったのです。
在来種はわずか0.1%、交雑個体が圧倒的多数に
研究チームは2005年から2021年にかけて、賀茂川水系(総延長約45.7キロメートル)を対象に計134回の野外調査を実施。捕獲した459匹の遺伝子解析などを通じて、流域全体の生息状況を詳細に分析しました。
その結果、2005年時点ですでに1.4%と少なかった在来種は、2021年時点でわずか0.1%にまで減少。一方、2005年に13.9%を占めていた外来種も、2021年には1%に激減していました。驚くべきことに、残りの98.9%はすべて交雑個体やその子孫に置き換わっており、交雑個体の世代交代が進行していることも判明しました。
30年以上前から進行していた交雑問題
オオサンショウウオは世界最大級の両生類として知られ、岐阜県以西の河川に生息しています。問題の発端は1970年代にさかのぼります。食用として輸入された中国原産の外来種・チュウゴクオオサンショウウオが川に逃げ出すなどして広がり、在来種との交雑が生じ始めました。
賀茂川では30年以上前から交雑が確認されており、今回の研究はその深刻な進行状況を数値的に明らかにしたものです。研究チームは「危機的な状況である」と強く警告しています。
生態系への影響と専門家の懸念
研究チームの西川完途・京都大学教授(動物系統分類学)は、交雑個体の特性について重要な指摘を行っています。「交雑個体の方が活動的なため、繁殖において有利になる可能性があります」と説明。より活発な交雑個体が増加すれば、餌となる小型動物が数を減らすなど、生態系全体に深刻な影響が及ぶ恐れがあると懸念しています。
この問題は賀茂川だけにとどまりません。交雑個体は大阪府や滋賀県などでも確認されており、環境省は2024年、外来種と交雑個体を「特定外来生物」に指定。これにより駆除の対象となり、無許可での飼育や放流が禁止されています。
保護対策の緊急性と今後の課題
広島大学の清水則雄准教授(動物生態学)は、今回の研究手法の意義について次のように評価しています。「今回の研究手法は他の地域でも現状を把握し、駆除対策の数値目標を立てる際に大いに役立つでしょう」
さらに清水准教授は、具体的な対策案を提案しています。「交雑が進んだ地域を『交雑管理区』、在来種が多い地域を『保護区』に区分けするなどして、対策を急ぐべきです。外来種との交雑問題は各地で深刻化しており、早急な保護対策が求められています」
研究論文は日本生態学会の学術誌に掲載され、科学的な裏付けをもってこの危機的状況を伝えています。オオサンショウウオという貴重な生物種の存続が危ぶまれる中、効果的な保護策の確立が急務となっています。



