自治会費滞納で「米騒動」勃発 愛知・西尾市の県営住宅で公平性巡り議論紛糾
自治会費滞納で「米騒動」 県営住宅で公平性議論紛糾

自治会費滞納で「米騒動」勃発 公平性と実情の狭間で揺れる県営住宅

2026年1月、愛知県西尾市の県営緑町住宅で開かれた自治会役員会は、緊迫した空気に包まれていた。ブラジル出身の日系2世である江藤裕希子自治会長(50)と他の役員たちが、ポルトガル語で激しい言い争いを繰り広げていた。遅れて到着した顧問の青木忠雄(78)がその様子に驚くと、すぐに原因が思い当たった。

「お米のことか」

「不公平」と「仕方ない」の対立

問題の発端は、前年12月に開催された「おたのしみパーティー」での米配布にあった。緑町住宅では各世帯に5キロずつの米が配られたが、共益費・自治会費や駐車場代の滞納者には渡さないという決まりが存在していた。しかし、ある滞納者が例外的に米を受け取っていたことが判明したのだ。

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イベント当日、その滞納者は朝から率先して準備や運営を手伝っていた。一部の役員が「働きぶりへの報酬」として判断し、特別に米を渡してしまったという。これに対して、他の住民からは「不公平だ」との声が上がっていた。

会議では、「手伝った人間には未納があっても出してあげるべきだ」「余ったお米を残しておいても仕方ない」という意見と、「ルールを守らないと不公平が生じる」という意見が真っ向から衝突。議論は紛糾し、容易に結論が出ない状況が続いた。

県への徴収移行を巡る課題

この「米騒動」の背景には、自治会費などの滞納問題が深く関わっている。緑町住宅に限らず、県営住宅全体で滞納は深刻な課題となっている。愛知県は2020年度から、希望する県営住宅を対象に、共益費の徴収を県が代行する形への切り替えを進めてきた。

2026年4月1日現在、県内の計293の県営住宅のうち、128カ所で県による徴収に移行している。緑町住宅でも、県に徴収を任せるかどうかが話し合われているが、大きな障壁が立ちはだかっている。

料金設定の仕組みが変わることで、駐車場代が上昇するなど住民の負担増が懸念されているのだ。このため、移行の是非について結論は出ておらず、継続的な議論が求められている状況だ。

多文化共生の現場で顕在化する軋轢

緑町住宅は、多国籍の住民が暮らすことで知られる地域だ。改正入管難民法が施行された1990年以降、「デカセギ」で来日した日系ブラジル人を中心に、多くの外国人労働者が地域の担い手として定着している。

しかし、言葉や習慣の違いから生じる摩擦は絶えず、社会の変貌を懸念する声も根強い。月に1回開かれる自治会役員会では、ごみの分別や駐車場の使い方など、日常的な問題の解決策が話し合われているが、文化の違いに起因する課題も少なくない。

「日本の習慣だもんで覚えてください」という言葉が象徴するように、相互理解と調整のプロセスは常に続いている。今回の「米騒動」は、そんな多文化共生の現場で、公平性と実情の狭間に揺れる人々の姿を浮き彫りにした出来事と言えるだろう。

県営住宅における徴収体制の見直しと、多様な背景を持つ住民たちの共生。これらが交差する緑町住宅では、今後も試行錯誤が続いていくことになる。

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