三重・津市の持ち家率96.5%で全国1位、安定雇用と低地価が背景に
三重・津市の持ち家率96.5%で全国1位、安定雇用が背景

総務省が2025年に実施した調査で、三重県津市の持ち家率が96.5%に達し、全国の都道府県庁所在地と政令指定都市の計52市の中でトップとなった。この結果は、最新の家計調査報告(家計収支編)に基づき、津市が発表した。市民の雇用環境が比較的安定していることに加え、まとまった住宅用地を取得しやすい環境が背景にあるとみられる。

持ち家率1位の要因

持ち家率は、調査対象全世帯のうち、現在居住する住宅が持ち家である世帯の割合を示す。津市は前年の2位から順位を上げ、福井、横浜、富山、堺、水戸、新潟、鳥取、前橋、岐阜と続くランキングで首位に立った。

津市政策課は、同市が経済・産業の中心でありながら自然豊かな点、有効求人倍率が高く仕事を選びやすい点、大都市や海外へのアクセスが良好な点を要因に挙げる。担当者は「住宅地が広く、庭付き住宅や広い住まいを実現しやすい環境」と説明している。

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過去の順位を見ると、2020年は4位、21年は8位、22年は2位、23年は1位、24年は2位と、常に上位を維持。市政策課の清水貴伸政策担当参事兼課長は「津は90%台をキープし、近年は不動の1~2位を繰り返してきた」と述べた。

公務員人口の多さが影響

津市の持ち家率が高い背景について、1976年から市内の不動産市場を見守る「エイト不動産」(津市丸之内)の近坂祐吾社長は、公務員人口の多さを指摘する。県庁や県警、国の出先機関が集中し、直近の国勢調査によると、津市の就業者総数に占める公務員比率は約6%で、全国平均の約2倍に相当する。「雇用が安定し転勤が少ないと、家を買いやすい」と語る。

近坂氏によると、東日本大震災以降、津波に対する市民の防災意識が高まり、海岸から離れた高台が選ばれる傾向が強まった。現在の人気エリアは津駅近くの津市大谷町で、「すぐに売れていく」という。今後の傾向として「コンパクトシティー化が進み、市中心部に近い住宅地の人気がさらに高まる」と予測する。

専門家の分析

名古屋学院大学の江口忍教授(地域経済)は、持ち家率が高い地域の一般的な特徴として、(1)地価が安い、(2)転入出が少なく人口流動性が低い、(3)三世代同居や近居が多い、の3点を挙げる。

(1)について、津市の住宅地の公示地価平均は1平方メートル当たり5万1871円。これは東京・新宿の100分の1未満、名古屋市の10分の1で、全国主要都市と比べて低位にある。

(2)については、転入者数と転出者数の差を人口で割った社会増減率で、津市は2023年10月から2024年9月までマイナス1.5%。南伊勢町の同8.7%や熊野市の同4.5%、名張市の同4.7%と比べれば低い。

市によると、住民の7割以上が市内で通勤・通学しており、江口教授は「持ち家のデメリットが目立たない土地柄がある」と分析する。

近年、東京を中心に不動産価格が上昇傾向にあり、持ち家の資産価値が高まる可能性もあるが、江口教授は「津は事情が異なり、資産価値の上昇までは望めない。転職や転居、離婚など人生の変化に対応しにくいというデメリットもある」と冷静な評価を促す。

人口流動性の低さは、圏外からの移住者が少ないなど他地域との交流の少なさの表れでもあり、「長期的には、刺激を求める若者を中心に都会へ出る人が増える要因にもなる」と指摘している。

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