医療ヘリ事故で機長が「空中分解の可能性」を説明 運輸安全委が経過報告書を公表
長崎県壱岐島沖で昨年4月に発生した医療搬送用ヘリコプターの事故を調査している国の運輸安全委員会は、3月26日に中間報告にあたる「経過報告書」を公表しました。この報告書の中で、機長が聞き取り調査に対して「空中分解する可能性を考え、不時着水を行った」と説明していたことが明らかになりました。
事故の詳細と機長の証言
事故は昨年4月6日に発生しました。患者ら6人が乗ったヘリコプターは午後1時30分に対馬空港を離陸し、福岡市の病院に向かう予定でした。しかし、離陸から約17分後の午後1時47分ごろ、壱岐島沖で不時着水し、機体が横転して大破しました。
運輸安全委員会の報告によると、不時着水の直前に機体後方で数秒ほどの異音や振動が発生したとされています。機長はこの状況を受けて、「空中分解する可能性を考え、不時着水を行った」と説明しています。この判断により、機体は海上に緊急着水することになりました。
犠牲者と負傷者の状況
この事故では、後部座席に乗っていた患者と付添人、医師の3人が残念ながら死亡しました。一方で、機長と整備士、看護師の3人は重軽傷を負いましたが、命に別状はありませんでした。医療搬送中の事故ということもあり、関係者に大きな衝撃を与えています。
機体の損傷状況と過去の類似事故
運輸安全委員会などの調査により、ヘリコプターの後部で回転翼を制御する「コントロールロッド」と呼ばれる部品の一部が破断していたことが判明しています。この部品の破断は、機体の制御に重大な影響を与える可能性があります。
興味深いことに、同型機では2007年にも日本放送協会(NHK)が契約するオールニッポンヘリコプターの機体で、同じ部品が破断して墜落する事故が発生しています。その事故では2人が死傷しており、今回の事故との類似性が指摘されています。運輸安全委員会は今後、破断の原因について詳細な調査を進める方針です。
捜査の状況と今後の展開
事故を巡っては、唐津海上保安部が業務上過失致死傷などの疑いで捜査を進めており、ヘリを運航するエス・ジー・シー佐賀航空に対して家宅捜索も実施しています。安全基準の遵守や整備状況などが捜査の焦点となっています。
運輸安全委員会の経過報告書は、事故原因の解明に向けた重要な一歩です。航空機の安全性向上に向けて、部品の耐久性や整備基準の見直しが求められることになるでしょう。関係機関は今後も調査を継続し、再発防止策を講じていく見込みです。



