辺野古沖船転覆事故で海保が強制捜査 市民団体事務所を捜索
沖縄県名護市辺野古沖で船2隻が転覆し、同志社国際高等学校(京都府)の女子生徒と船長が死亡、14人が負傷した事故を受け、第11管区海上保安本部は3月20日、2隻を運航した市民団体「ヘリ基地反対協議会」の事務所などを業務上過失致死傷などの容疑で捜索した。過失の有無や事故原因の究明に向け、強制捜査に踏み切った。
波浪注意報中に出航 安全航行の呼びかけも
事故は3月16日午前10時10分頃に発生。「不屈」(定員10人)と「平和丸」(同13人)が相次いで転覆し、2隻に乗っていた高校生18人を含む計21人が海に投げ出された。不屈の船長(71)、平和丸に乗っていた同高2年の女子生徒(17)が溺死し、高校生ら14人が指の骨を折るなどのけがを負った。
第11管区海上保安本部によると、事故当日は波浪注意報が発表されており、海保のボートが2隻に安全航行を呼びかけていた。現場海域は海底にリーフ(環礁)が広がる浅瀬で、押し寄せた波が高くなりやすい地形特性があるという。
市民団体事務所を捜索 段ボール箱を運び出す
名護市にある同団体の事務所や事故現場に近い港そばの活動拠点には20日午前、第11管区の捜査員らが段ボールを手に次々と捜索に入った。捜索後に取材に応じた同団体の仲村善幸・共同代表は「被害を受けた方の気持ちを大事にしないといけない」と述べ、捜査に全面的に協力する意向を示した。
出航判断基準の曖昧さと事業登録問題
同団体によると、出航を見送る目安は風速7、8メートルを超える場合としていたが、判断基準は明文化しておらず、船長に一任していた。また、2隻とも他人の需要に応じて人を運ぶ事業に必要な海上運送法上の事業登録をしていなかったことが判明している。
複数の容疑で捜査を展開 事故原因の全容解明へ
第11管区海上保安本部は、船長らの出航判断や航路の選択に問題がなかったかどうか、業務上過失往来危険と業務上過失致死傷容疑で捜査している。さらに、事業登録を怠った可能性も視野に、海上運送法違反の疑いでも調べを進めている。波浪注意報が発令されている状況での出航判断、適切な安全対策の有無、法令遵守の状況など、多角的な観点から事故の背景を究明する方針だ。
この事故は、海上活動における安全基準の徹底と、関係機関による適切な監督の重要性を改めて浮き彫りにした。今後、捜査の進展とともに、詳細な事故原因が明らかになる見込みである。



