岩手県大槌町で発生した大規模な山林火災は、発生から38日目となる29日に鎮火しました。この火災では町の面積の8%を超える山林が焼失しました。昨年の大船渡市に続き、岩手県沿岸で大規模山林火災が連続して発生した背景には何があるのでしょうか。森林火災を研究する千葉大学の峠嘉哉准教授に、原因と防止策について詳しく聞きました。
なぜ燃え広がったのか
峠准教授は、三陸沿岸で続く山林火災には広域化する条件がそろっていたと指摘します。具体的には、①乾燥した気候、②強風、③延焼が速い急斜面に木が生えていること、④スギやマツなど油分を多く含む針葉樹が多いこと、の4点です。
これらの条件が重なることで、木の上部に燃え移る「樹冠火」が発生し、急速に延焼しました。特に昨年の大船渡市と今回の大槌町では、乾燥の要素が強く影響したと峠准教授は分析します。
防止策はあるのか
峠准教授の調査によると、1995年から2020年までの山林火災の98.8%は人為的な理由で出火しています。そのため、まずは人為的な出火を防ぐことが最も重要だと強調します。
昨年の大船渡市の山林火災を契機に、今年から林野火災警報・注意報の運用が始まりました。特に警報は、屋外でのたき火や山での喫煙を禁止するなど行動制限を伴い、罰則も設けられています。峠准教授は、これらの警報・注意報を広く周知し、住民の理解と協力を得ることが不可欠だと述べています。
森林管理の見直しを
さらに、長期的な視点から森林管理のあり方も問われています。スギやマツの植林だけでなく、広葉樹のような燃えにくい樹種を植えるなど、森との向き合い方を全国で議論する時期に来ていると峠准教授は指摘します。
「昨年と今年の大規模山林火災を、森林管理を見直すきっかけにしなければなりません」と話し、持続可能な森林づくりの重要性を訴えています。
大槌町の火災では、鎮火までに38日を要し、多くの消防団や関係機関が消火活動にあたりました。今後は、焼失した山林の復旧や、地域の防災体制の強化が課題となります。



