甲府・湯村の老舗ラーメン店「湯村食堂」、火災から1年3カ月ぶり復活へ
甲府・湯村の老舗ラーメン店、火災から復活へ

昨年2月の火災で店舗を全焼した山梨県甲府市湯村温泉街の老舗ラーメン店「湯村食堂」が、6月1日に待望の営業再開を果たす。一時は廃業も検討されたが、常連客の熱い要望に押され、家族が結束して復活にこぎつけた。

火災から復活への道のり

1966年創業の「湯村食堂」は、温泉街の一角で半世紀以上にわたり親しまれてきた名店。看板メニューは数種の味噌と秘伝のタレで作る味噌ラーメンで、深いコクとさっぱりした後味が特徴。県外からも多くのファンが訪れていた。

しかし昨年2月6日、厨房から出火。木造平屋建ての店舗は瞬く間に炎に包まれ全焼し、ラーメンのだし取りに使う鍋や食器など、すべてを失った。

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店主の小田切正さん(82)と妻の春子さん(79)は高齢で、火災で近隣に迷惑をかけた負い目や再建費用の問題から、「もう店をやめたほうがいい」と考えていたという。

常連客の声が支えに

しかし、「またあの味を食べたい」「老舗がなくなるのは悲しい」といった常連客の声が寄せられ続けた。長女の正子さん(56)らが春子さんに再開の意向を尋ねると、「小さい店でもいいからやりたい」との答えが返ってきた。

この一言で家族が動き始めた。地域有志の寄付金は火災被害の弁済に充て、再建資金は正子さんの夫が調達。今月、元の場所に木造平屋建ての新店舗が再建された。

新店舗の概要とメニュー

新店舗はテーブル席4つとカウンター席を備え、同時に17人が入店可能。調理場には春子さん、次女の雅美さん(54)、雅美さんの長女の萌さん(23)の3人が立ち、火災前のメニューをほぼそのまま提供する。

雅美さんは「火災後、知人から『あの味をもう一度食べさせてほしい』と言われ、店が愛されていたことを初めて理解した。新たなファンも作りたい」と語る。

常連客の名取信造さん(63)は「小学生の頃から通い、親になってからは子どもも連れてきた。親子3代で楽しんだ味が再び食べられるとは思っていなかった。また足しげく通いたい」と喜びを語る。

営業は6月1日から通常通り、午前11時~午後2時と午後5時~。定休日は水曜と木曜。

湯村温泉の活性化にも期待

湯村温泉では観光客減少に対応するため、甲府市や地元が一丸となって周辺整備や再開発を進めている。湯村温泉旅館協同組合の笹本健次理事長は「湯村食堂は温泉の重要な歴史の一つ。火事は悔しかったが、復活に全面的に応援してきた。再開発の中で役者がそろい始め、大変うれしい」と期待を寄せる。

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