国土交通省は22日、収益の悪化によって苦境が続く国内の航空路線を維持するため、有識者会議で議論してきた対策案をまとめた。生活に欠かせない離島や地方を結ぶ路線では、一定の条件で航空各社どうしがダイヤや便数を調整することを認めた。空の交通網を維持するため、今後は日本航空(JAL)や全日本空輸(ANA)などライバル会社間の「協調」が加速するとみられる。
対策案の概要
複数の会社が運航する地方路線は便数が少ないうえに、観光客らが利用しやすいように便が朝夕に集中している。各社にとっては、時間帯をずらせば乗客が選びやすくなって搭乗率も上がり、収益アップも見込める。独占禁止法は、企業どうしが共同で商品の生産数量などを決める行為を禁じている。ダイヤや便数の調整がこれに当たるかどうかの線引きは明確になっておらず、国内線での協調は離島航路の一部にとどまっていた。
対策案では、ダイヤについては運賃や便数を調整しないなどの条件を満たせば、独禁法には当たらないとした。便数についても、新幹線などが通っておらず航空路線がなければ1日では往復ができない▽収支が将来的に赤字の見通し――などの路線では独禁法が適用されないとした。便数調整は、羽田や成田、福岡など幹線となる空港と結ぶ路線は対象外。たとえば、羽田―熊本や新千歳―中部(名古屋)などの路線は、コードシェア(共同運航便)などによる便数の調整ができる。
今後の手続きと監視
便数調整は国交大臣の認可が必要で、国交省は認可にあたって公正取引委員会とも協議する。各社が協調して不当に運賃を値上げするようなことがないよう、国交省が継続的に監視する。
背景と有識者会議
人件費や燃料などのコストが上がる一方で、コロナ禍後は単価が高かった出張需要が戻らず、国内線は経営状況が悪化している。国交省は昨年5月に有識者会議(委員長・竹内健蔵東京女子大教授)を立ち上げて、航空会社や公取委の担当者を交えて議論を続けていた。
収益が悪化し苦境が続く国内線は、中東情勢の影響も受けており、今後の動向が注目される。国交省はこの対策案を通じて、航空ネットワークの維持を図りたい考えだ。



