山形県内で、ツキノワグマによるとみられる人身被害が相次いでいる。酒田市では5日、クマに襲われたとみられる高齢男性の遺体が見つかった。7日には朝日町で高齢男性がクマに襲われ、重傷を負った。いずれも山菜採りで山に入った。死亡事故がクマによるものとすれば、県内では1988年以来38年ぶりとなる。
酒田市山谷(やまや)では今月3日朝、山菜採りのため山林に入った同市北俣の農業久松幸雄さん(78)が行方不明になった。酒田署などが山林を捜索し、5日朝、頭部や腕に複数の外傷がある男性の遺体が見つかった。動物にかまれたり、爪でひっかかれたりしたような傷だったという。署はクマに襲われた可能性が高いとみて死亡原因の特定を進めている。
署によると、遺体発見時、近くのやぶから現れた体長約1メートルのクマが向かってきたため、同行していた猟友会員が猟銃を発砲して駆除したという。遺体は久松さんとみられるが、損傷が激しく特定に至っていない。
県によると、県内でクマによる死亡事故は1988年に3件、いずれも戸沢村で発生した。5月にタケノコ採りの男性が、10月にクルミ採りと栗拾いで山に立ち入った女性2人が、クマに襲われた。酒田市の遺体がクマに襲われたものとなると、県内では38年ぶりのクマによる死亡事故となる。
朝日町大船木では7日朝、白鷹町の男性(70)が友人と山菜採りに出かけ、体長約1メートルのクマに襲われた。寒河江署によると、男性はクマに顔をたたかれ、ほお骨が折れる重傷を負った。前方にいた男性が「ギャー」と声を上げたため、友人が大声を上げ、クマを追い払ったという。クマはまだ捕獲されていない。町によると、付近でクマが目撃されたことはこれまでなかったという。
町は林道入り口に看板を設置し、注意を呼びかけている。また、県や市町村は山菜採りなどで山に入る際には、クマよけの鈴やラジオを携帯し、複数人で行動するよう呼びかけている。さらに、クマの出没情報を確認し、早朝や夕方の活動時間帯を避けるよう注意を促している。
専門家は、クマが冬眠明けで餌を求めて活発に活動する時期であることから、特に注意が必要と指摘する。また、山菜採りで山に入る人は、クマの習性を理解し、遭遇した場合の対処法を事前に学んでおくことが重要としている。



