SNSで知り合った若者5人の自殺を手助け、被告に懲役5年の判決
2026年3月6日、福島地裁郡山支部(下山洋司裁判長)は、SNSで自殺願望をほのめかしていた10~20代の男女5人の自殺を手伝うなどしたとして、自殺幇助などの罪に問われた福島市永井川の無職、岸波弘樹被告(37)に対し、懲役5年の判決を言い渡した。検察側の求刑は懲役6年であった。
約7カ月間にわたり福島・山形両県で犯行を繰り返す
判決によると、被告は2024年6月から2025年1月にかけて、福島県と山形県の山中で、合計5人の自殺を手助けするなどした。被害者は宮城県、埼玉県、山形県、福島県の4県に住む男女で、うち4人が死亡し、1人は未遂に終わった。一部のケースでは、被告が被害者のキャッシュカードで現金を引き出して盗んだり、18歳未満と知りながら性行為を行ったりした事実も認められた。
「自殺希望者につけ込み欲望を満たす卑劣な意思決定」と判決が指摘
判決は、被告が「自殺希望者から金品を譲り受け、女性であれば性行為に及ぶことも期待して犯行を繰り返した」と厳しく非難した。さらに、「自殺希望者の心情につけ込んで欲望を満たそうとする卑劣な意思決定は、厳しい非難に値する」と述べ、被告の動機の悪質性を強調した。
「生命軽視の姿勢が著しい」と量刑理由で断罪
量刑の理由では、被告が「手伝ってでも自殺させた方がその人のため」との考えの下、SNSで知り合っただけの関係にもかかわらず、約7カ月の間に5人の自殺を手伝うなどした点を指摘。「自殺幇助を常習的に行うこと自体、生命軽視の姿勢の著しさを如実に示す」と断じ、社会への影響の大きさを考慮した判決となった。
この事件は、SNSを通じた匿名性の高い接触が、深刻な犯罪に発展する危険性を浮き彫りにした。被害者らは若年層が中心で、自殺願望を抱えていたことから、精神的な支援の重要性も改めて問われる結果となった。裁判所は、被告の行為が単なる「手助け」ではなく、利益や欲望を目的とした計画的犯行であると認定し、厳罰を科す判断を示した。
