プロ野球巨人の阿部慎之助前監督が長女への暴行容疑で逮捕された事件を巡り、児童相談所に通報した長女への誹謗中傷がSNS上で広がっている。専門家は、SNSには扇情的な投稿ほど関心を集めやすい特徴があると指摘し、「悪質性によっては侮辱罪などが成立する余地もある」と注意を喚起した。
相次ぐ中傷投稿と阿部前監督の訴え
「浅はか」「辞任に追い込まれた阿部慎之助がかわいそう。家族の中で一番長女が迷惑な存在」――。前監督の辞任が報じられると、SNS上には長女を非難する中傷投稿が相次いだ。阿部前監督は記者会見で、児童相談所に連絡した経緯を綴った長女の手紙を代理人が読み上げ、誹謗中傷に対して「なるべく控えていただくことを切に希望しております」と訴えた。
専門家の見解:侮辱罪成立の可能性
国際大学の山口真一教授は「どのような事案でも誹謗中傷は容認されない」と強調。児童相談所への通報を非難する投稿については、「深刻な虐待を受けている子どもの通報をためらわせることにつながりかねない」と警鐘を鳴らした。山口教授は「怒りや嫌悪を強く喚起する投稿ほど関心を集めやすい」と指摘し、「閲覧数などが収益に結び付く仕組みが扇情的な投稿や拡散につながっている可能性もある」と述べた。
SNSの特性と誹謗中傷のリスク
SNSでは、感情を強く刺激する内容ほど拡散されやすく、結果として誹謗中傷が増幅される傾向がある。特に、著名人の家族に対する攻撃は、匿名性を背景にエスカレートしやすい。山口教授は、悪質な投稿については侮辱罪や名誉毀損罪の成立も視野に入れるべきだとし、利用者に対して冷静な対応を求めている。
今回のケースは、SNS上の誹謗中傷が個人の尊厳を傷つけるだけでなく、児童虐待の通報という社会的に重要な行動を阻害する危険性を浮き彫りにした。専門家は、プラットフォーム側の対策強化や、ユーザー一人ひとりのリテラシー向上が急務だと訴えている。



