大阪・道頓堀の刃物事件、容疑者は酒酔いで気分浮き沈み「殺すぞ」と発言
道頓堀刃物事件、容疑者は酒酔いで「殺すぞ」発言

大阪・道頓堀の刃物事件、容疑者は酒酔いで気分浮き沈み「殺すぞ」と発言

大阪ミナミの繁華街・道頓堀で発生した刃物事件について、新たな詳細が明らかになった。2026年2月に17歳の少年3人が刺されて死傷した事件で、大阪府警は6日、殺人容疑で逮捕した無職の岩崎龍我容疑者(21)を、負傷した少年2人に対する殺人未遂と銃刀法違反の両容疑で再逮捕した。岩崎容疑者は現在、黙秘を続けている。

事件の詳細と容疑者の行動

発表によると、岩崎容疑者は2月14日午後11時55分頃、大阪市中央区心斎橋筋の商業ビル1階の入り口で、男子高校生(大阪府八尾市)とアルバイトの少年(同府柏原市)の上半身を折りたたみナイフで刺し、負傷させた疑いが持たれている。高校生は一時、意識不明の重体に陥り、少年も重傷を負ったが、いずれも3月初めに退院した。刺された順番は、柏原市の少年、八尾市の高校生、そして死亡した会社員の少年(奈良県田原本町)だったことが判明している。

岩崎容疑者と少年3人が事件直前に接触したのは、現場近くにあるグリコ看板下の遊歩道「グリ下」である。この場所は2021年頃から、家庭や学校に居場所のない若者が集まる場として注目されてきた。しかし、徐々に性犯罪や売春のあっせんなどが増加し、近年は暴力事案も目立つようになっている。

知人による証言と容疑者の性格

読売新聞の取材によると、岩崎容疑者は遅くとも昨夏頃からグリ下に出入りしていた。岩崎容疑者の知人は、「普段は明るい性格だが、酒が入ると気分が浮き沈みする。『死ね』とか『殺すぞ』と言っていた」と証言した。また、刃物を日常的に持ち歩いていたことも明らかになった。別の10代の男性も、「岩崎容疑者はずっとナイフを持ち、おちょくると向けられたこともある。まさか刺すことはないと思っていたが」と語っている。

一方、死亡した会社員の少年については、府警は当初、グリ下に出入りしているとみていたが、その後の捜査で出入りしていなかったことが判明した。会社員の少年の友人によると、彼は時々、戎橋付近で飲食店のバイトをしたり、ミナミに遊びに来たりしていた。友人は「礼儀正しくマナーが良かった」と振り返り、普段は奈良市の清掃会社で働き、週末は祖父母が経営する農場を手伝っていたという。

事件直前の状況と現場の環境

事件直前の詳しい状況もわかってきた。府警によると、岩崎容疑者はグリ下で行われた音楽イベントに参加していた。会社員の少年の知人女性も参加し、そこで迷惑行為を受けた。会社員の少年ら3人は別の場所にいたが、女性からの連絡で駆けつけた。グリ下で岩崎容疑者と少年らと居合わせた男性によると、岩崎容疑者は酒に酔っている様子だった。少年らが岩崎容疑者に「(トラブルを避けるため)防犯カメラのある場所に行こう」と言っているのを聞いたという。男性はビルに移るまでを目撃し、会社員の少年は「(岩崎容疑者と)しゃべったことがない」と話し、面識がない様子だったと証言した。

グリ下に出入りする男性によると、けんかなどのトラブルは日常的にあるという。ある男性は「危ないことが多く、最近は行かなくなった」と話している。昨年3月には、座り込みを減らす目的で、椅子代わりの段差部分に大阪市が塀を設置した。人が減ったとされるが、記者が訪れた事件1週間後の週末の2月21日夜には、約15人の若者が集まっていた。また、約300メートル離れた橋の横の広場に集まる若者も出てきている。

府警の対応と今後の対策

府警では事件前から毎日のように巡回し、職務質問など対応を続けている。府警幹部は「取り締まりと悩み相談などの支援の両方を強化していく」と表明した。この事件を機に、グリ下のような若者のたまり場における安全対策が急務となっている。