岡山地裁が高梁市の懲戒免職処分を無効と判断
岡山県高梁市の元市消防本部職員が、酒気帯び運転を理由に懲戒免職となった処分の取り消しと損害賠償を求めた訴訟で、岡山地裁(森実有紀裁判長)は2月25日、懲戒処分の取り消しと150万円の支払いを命じる判決を言い渡しました。裁判所は、処分の根拠となる故意が認められないと判断し、市の対応を違法としました。
事件の経緯と不起訴処分
判決によると、元職員の男性は2022年8月11日、道路交通法違反(酒気帯び運転)の疑いで逮捕されました。同日の午前1時30分頃まで飲酒した後、午前8時20分頃から約10分間車を運転し、もめごとの相談のために警察署を訪れた際に呼気検査を受け、基準値を超えるアルコール分が検出されたことが発端です。
しかし、同月26日には岡山区検が嫌疑不十分として不起訴処分を決定。それにもかかわらず、高梁市は同年11月30日、男性を懲戒免職処分としました。この処分の適法性が裁判の主な争点となりました。
裁判所の判断「故意が認められない」
森実裁判長は判決で、事件当日の午前2時30分頃に警察官が行った呼気検査では基準値を下回っていた事実を重視しました。裁判長は「1回目の検査から約6時間が経過しており、酒気を帯びた状態ではないと認識することもやむを得ない」と指摘。
さらに、「懲戒処分に必要な酒気帯び運転の故意があったとは認められず、懲戒事由がない」と明確に結論付けました。この判断により、市の処分は法的根拠を欠くものとされ、取り消しが命じられたのです。
市側の対応と今後の展開
高梁市消防本部は判決を受けて、「現在判決内容を精査しており、今後の対応について慎重に検討する」とのコメントを発表しています。市側が控訴するかどうかは未定ですが、この判決は公務員の懲戒処分における故意の立証要件の重要性を浮き彫りにしました。
今回の判決は、行政処分の適正手続きと証拠に基づく判断の必要性を改めて示す事例となっています。地方自治体の人事権行使において、客観的事実と法的根拠の双方が不可欠であることが強調される結果となりました。



