神奈川県警で交通違反取り締まりの大規模不正 巡査部長ら7人書類送検
神奈川県警は20日、交通違反取り締まりにおいて反則切符や調書に虚偽の記載を行ったとして、虚偽有印公文書作成・同行使の容疑で、県西部の小隊に所属していた40代の男性巡査部長を含む7人を書類送検したと発表しました。この事件により、取り消される違反件数は前代未聞の2000件を超える見込みとなっています。
不正発覚のきっかけはドライバーの指摘
不正が明るみに出たのは、2024年8月にさかのぼります。書類送検された巡査部長から「車間距離不保持」で反則切符を切られたドライバーが、現場で受け取った告知書と後日送付されてきた書類の車間距離が異なることに気付き、県警に問い合わせたことが発端でした。
この指摘を受けて開始された内部調査では、速度違反の取り締まりにおいても、追尾距離を偽装していた事実が判明。巡査部長は取り調べに対し、「追尾距離が短くても違反認定ができるように」と不正の動機を説明しています。
「実況見分したことない」 常態化した手抜き業務
さらに深刻な問題が明らかになりました。刑事手続きに移行する際に作成される実況見分調書について、巡査部長は約2年半にわたる業務実態を「自らが実況見分を実施したことはない」と告白。現場には赴かず、過去の取り締まりデータやインターネットの地図情報を基に調書を作成していたのです。
巡査部長は「実況見分の時間を取り締まりに回せば良いと思った」と話しており、この手抜き業務は同僚たちにも広がり、小隊内で常態化していました。県警幹部は「調査・捜査対象がどんどん増えた」と内部調査の過程を振り返っています。
証拠不足で違反取り消し相次ぐ
小隊の捜査車両には全てドライブレコーダーが搭載されていましたが、保存されている映像は一部に限られており、再度の違反認定は困難な状況です。このため、「疑わしきは罰せず」の原則に基づき、違反の大半を取り消さざるを得なくなりました。
県警は他隊の車両のドライブレコーダー映像の確認や職員への聞き取りを実施したとし、「不適正なものは見つけられなかった」と強調しています。しかし、ドライバーからの問い合わせがなければ、不正が現在も続いていた可能性が指摘されています。
誤った正義感が市民生活に影響
「1件でも多く取り締まりたい」という誤った正義感は、車を必要とする市民の日常生活にも支障を及ぼした恐れがあります。県警幹部は「極端に短い追尾距離では疑問を持たれる。刑事手続きになった際に証拠として認められない可能性もある」と背景を推察しています。
この大規模な不正事件は、警察組織の内部統制の在り方に大きな疑問を投げかけるものとなりました。神奈川県警は再発防止策の徹底を求められています。



