詐欺犯罪の国際ネットワークが拡大 海外拠点と国内の連携に捜査の焦点
ニセ警察詐欺をはじめとする特殊詐欺や、SNSを利用した投資・ロマンス詐欺の被害が深刻化する中、これらの犯罪を手掛ける組織の活動範囲が国境を越えて広がっている。警察当局の捜査によれば、詐欺グループの「国際化」が急速に進展しており、新たな犯罪の構図が浮かび上がっている。
東南アジアに広がる詐欺拠点 日本人の関与が相次いで明らかに
高い塀と有刺鉄線で厳重に警備された施設内で、パスポートとスマートフォンを没収された状態で拘束される。自由な時間はほとんど与えられず、ミスをすれば暴力を受け、場合によってはアルコールをかけられて火を付けられることもあるという。これが、東南アジア各国で摘発され、日本に移送された日本人たちが証言する海外詐欺拠点の実態である。
警察庁の発表では、昨年だけでタイ、カンボジア、マレーシア、フィリピンにおける拠点の摘発に伴い、日本人を含む54名が逮捕された。2024年においても50名が摘発されており、これらの多くが「海外での高収入バイト」を謳うSNS上の闇バイト募集に応じて渡航していたと見られている。
国内拠点は縮小傾向 代わりに外国人の関与が増加
一方で、国内における詐欺拠点の摘発件数は減少傾向にある。昨年、偽りの電話やメールを発信するための国内拠点として摘発されたのは11カ所のみで、前年と比較して18カ所も減少した。警察庁の担当者は「詐欺グループの活動拠点が国内から海外へと移行しており、国内に残る拠点は以前より小規模化している」と指摘する。
興味深いことに、国内で詐欺に関与したとして摘発される外国人の数が増加している。特に短期滞在の外国人による被害金の回収役としての関与が目立っており、国際的な犯罪ネットワークの末端として利用されている実態が浮き彫りになっている。
警察庁が国際連携を強化 海外犯罪組織の関与を警戒
警察庁は、これらの詐欺グループの背後に海外の犯罪組織が存在する可能性が高いと分析している。そのため、関係各国の捜査当局との連携を一段と強化する方針を打ち出した。国際的な情報共有と共同捜査の枠組みを拡充し、国境を越えた犯罪の根絶を目指す構えだ。
ある捜査関係者は「詐欺犯罪の国際化は単なる傾向ではなく、既に確立された犯罪ビジネスモデルとなっている。捜査の国際協力なくしては効果的な対策が困難な段階に来ている」と危機感を募らせる。
オンラインカジノ施設を転用した詐欺コールセンターなど、東南アジアでは大規模な拠点が次々と発覚している。これらの拠点では、新人犯罪者に対して詳細なマニュアルの暗記を強制し、通話内容を録音して「反省会」を実施するなど、組織的な運営が行われていた証拠も確認されている。
被害の拡大を防ぐためには、国際的な捜査協力の強化に加え、SNS上での闇バイト募集に対する監視の強化や、一般市民に対する詐欺手口の周知徹底が急務となっている。警察庁は今後も海外当局との連携を密にし、国際的な詐欺ネットワークの解体に向けた取り組みを加速させる方針である。



