刑事裁判の再審制度を見直すための刑事訴訟法改正案をめぐり、衆院法務委員会で27日、実質的な審議が始まった。再審開始決定に対する検察の不服申し立て(抗告)を制限するために、自民党の事前審査を経て設けられた規定に「抜け穴」があることが判明し、今後の審議で検察抗告が再び焦点となりそうだ。
「十分な根拠」の規定に曖昧さ
検察抗告をめぐっては、自民党内の審査で禁止を求める声が相次ぎ、当初の法案が修正された。抗告できるのは、再審開始決定が取り消されるべきものと認めるに足りる「十分な根拠」がある場合に限ると、刑訴法の本体である本則に明記された。
自民党の小林鷹之政調会長は14日の記者会見で「検察が即時抗告をするハードルが確実に上がった」と評価していた。しかし、27日の委員会で法務省の刑事局長は、検察抗告にあたって「十分な根拠」を求める規定は「検察官が順守すべき行為規範」だと説明。「裁判所による判断事項とする趣旨ではない」と答弁した。
つまり、検察抗告に「十分な根拠」があるか否かについて、裁判所に判断を仰ぐための規定ではないということだ。この通りに運用されれば、裁判所が「十分な根拠」がないとして、検察抗告を門前払いの形で棄却することはできない。
自民党から「信義則違反」の声
この答弁は、自民党の法務部会長として事前審査の意見集約にあたった藤原崇氏の質疑に対するものだ。藤原氏は「条文を見ると行為規範とは読めない」と疑問を呈した。
複数の政府・与党関係者によると、自民党が政府法案を了承した13日の部会で、法務省は今回の答弁のような説明をしていなかったという。法務省は、検察の即時抗告を制限する意図はあるものの、裁判所の審査対象としない姿勢を示しており、自民党議員からは「信義則違反だ」との批判が上がっている。
今後、国会審議ではこの規定の解釈をめぐって与野党の攻防が激しくなるとみられる。再審制度の抜本的な見直しを求める声も強く、法案の行方に注目が集まる。



