日本新聞協会は27日、再審制度を見直す刑事訴訟法改正案の審議が国会で始まったことを受け、再審請求審で開示された証拠の「目的外使用」を禁じる罰則規定の創設に反対する声明を公表した。同協会はすでに1月に同様の見解を示していたが、政府の改正案に懸念が払拭されないまま罰則付き禁止規定が盛り込まれたとして、改めて反対の立場を明確にした。
声明の背景と主張
声明では、1966年に発生した静岡県一家4人殺害事件の再審請求審を例に挙げ、報道機関が捜査や公判の問題点、不十分な証拠開示の実態を継続的に報じることで「再審事件への社会的関心を支えてきた」と強調。再審請求審は非公開のため外部からの検証が難しく、弁護団や支援者、報道機関が開示証拠を共有・分析し問題提起してきたことが冤罪救済に重要な役割を果たしてきたと指摘した。
静岡事件では、検察が開示した「5点の衣類」のカラー写真をもとに血痕の変色に関する検証が行われ、その成果が報道されて再審無罪判決につながった経緯がある。
罰則規定への懸念
改正案では、再審請求審で開示された証拠の目的外使用を禁じ、違反した場合に1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金を科す規定が設けられている。これについて協会は、再審請求者や弁護士らが証拠を公益目的で活用したり、報道機関に提供したりすることが困難になると懸念。さらに、報道機関への情報提供まで処罰対象となる可能性が広がれば、情報提供が萎縮し、取材・報道活動が実質的に制限されると危惧する。
その結果として、再審請求審がさらに不透明になり、国民が再審事件の問題点を知る機会が損なわれると深く危惧している。
報道の自由と国民の知る権利
協会は、報道機関が憲法の保障する表現の自由と国民の知る権利に奉仕する公共的使命を負っていると強調。加盟社は新聞倫理綱領に基づき、個人の名誉やプライバシー、人権に配慮しながら報道活動を行っているとし、罰則付きの目的外使用禁止規定によって報道機関への情報提供を一律に制限し、取材・報道活動を阻害することは認められないと主張している。
協会は、同規定の創設に反対し、報道機関への情報提供を禁止対象から除外することを強く求めている。
国会審議への要請
協会は、国会において慎重かつ十分な議論が尽くされ、協会の主張を反映した制度とするよう強く要請。再審制度の見直しが冤罪救済の観点から適切に進められるよう、引き続き注視していく方針だ。



