小栗上野介の功績を後世へ 27年大河「逆賊の幕臣」主役 高崎で記念館や史跡整備進む
群馬県高崎市倉渕地域にゆかりの江戸時代末期の幕臣、小栗上野介忠順(1827~68年)の功績を伝えるため、地元の一般社団法人「小栗上野介顕彰会」を中心に記念館の建設や関連史跡の整備が進められている。2027年に放送予定のNHK大河ドラマ「逆賊の幕臣」で小栗が描かれることを受け、市が事業費などを支援し、2026年12月までの完成を目指している。
小栗上野介記念館は、小栗の墓がある東善寺(高崎市倉渕町権田)に隣接して整備される。顕彰会メンバーで長年小栗の研究に取り組む同寺の村上泰賢住職(84)が私財を投じ、寄付を呼びかけて建設を計画していたが、顕彰会が事業主体となり、市が建設費として1億1千万円を補助することになった。
建設地は同寺所有地。1階を鉄筋コンクリート造、2階を木造とする2階建てで、延べ面積は213平方メートル。外観はしっくいやなまこ壁をイメージした重厚な蔵造り風で、見学スペースには倉渕産のヒノキやスギを使用し、温かみのある空間を提供する。
総事業費は約1億4千万円。市は、日本の近代化に貢献した小栗の功績を後世に伝えるとともに、新たな歴史・観光拠点として期待を寄せている。
顕彰会が運営し、館長には村上住職が就く予定。展示内容としては、欧米の工業技術の象徴として小栗が米国から持ち帰ったとされるネジや、小栗が斬首される直前まで乗っていたと伝わるかごなど、村上住職が収集した資料のほか、写真パネルや動画で小栗の生涯をわかりやすく紹介する計画だ。
村上住職は「明治新政府によって『逆賊』とされてきた小栗の業績に加え、小栗を供養し語り伝えてきた倉渕の人々の思いを伝える施設にしたい」と語っている。
小栗まつりで新作能披露や墓前祭
小栗上野介をしのぶ「小栗まつり」が24日、東善寺で開催される。主催は小栗上野介顕彰会。午前10時からは小栗の生涯や史実をエピソードで紹介する「小栗かるた」の会が予定されている。午後1時には墓前祭で非命159回忌法要が営まれる。また、新作能「小栗」や群馬マンドリン楽団の演奏も披露され、地元農産物や小栗関連書籍の販売も行われる。
倉渕体育館で午前10時から開かれる記念式典や講演会は既に申し込みを締め切ったが、動画配信サービスYouTubeで同時配信され、東善寺でも視聴可能。問い合わせは顕彰会事務局(市倉渕支所地域振興課内)=電027(378)3111=か東善寺=電027(378)2230=へ。
家臣一族の悲劇を伝える「姉妹観音」を移設
史跡などの周辺整備では、小栗上野介の家臣一族の悲劇を伝える「姉妹観音」が、同市倉渕町の山中から倉渕せせらぎ公園(同町岩氷)近くの市有地に移設された。
この観音像は、小栗の家臣・塚本真彦の幼い娘2人を供養するために建立されたもの。姉妹は新政府軍から逃れる途中、道に迷った母親によって相間川に沈められ、命を落としたとされる。この悲劇を知った小栗上野介顕彰会が1993年に建立した。
当初は公園の約1キロ上流の川のほとりにあったが、岩場で危険だったため、大河ドラマを機に多くの人に知ってもらおうと、顕彰会が市の協力を得て参拝しやすい場所に移した。
現地で18日に行われた説明会で、富岡賢治市長は「小栗公に絡んで、たくさんの悲劇があったことはあまり知られていない。市内外の人に訪れてもらい、歴史を振り返るきっかけにしてほしい」とあいさつ。顕彰会の市川平治理事長は「この地域や小栗公顕彰の一つの核として注目してもらえると思う。小栗公の歴史そのものが表舞台から抹殺されたが、陰に隠れた悲劇にも光を当て、事跡をしっかりと掘り起こして後世に伝えたい」と語った。
このほか、東善寺の小栗の本墓に至る急な坂道には手すりが設置された。
小栗上野介忠順の生涯
小栗上野介忠順は旗本の子に生まれ、1860年(万延元年)、日米修好通商条約批准のため遣米使節団として渡米し、世界一周を経験。帰国後、勘定奉行などの要職を務め、日本の近代化を支えた横須賀製鉄所(造船所)建設を提言するなどした。1868年(慶応4年)に罷免後は領地だった旧権田村(現高崎市倉渕町)に隠棲したが、明治新政府勢力によって斬首された。



