福島県富岡町の富岡漁港が、ウミネコの新たな繁殖地として注目を集めている。東日本大震災の津波で大きな被害を受けたこの漁港で、ウミネコの営巣が確認された。専門家は、復興工事による環境変化が影響していると指摘する。
ウミネコの繁殖活動が活発に
2026年5月15日、長さ約100メートルの堤防上空では、「ミャー、ミャーオ」という鳴き声が響き渡り、多数のウミネコが飛び交っていた。春から夏にかけて繁殖活動を行い、やがて巣立っていくという。近くで出港準備をしていた男性漁師は、「まもなくひなが歩き回る姿が見られるだろう」とほほえましそうに語った。
繁殖地形成の背景
福島県いわき市の水族館「アクアマリンふくしま」の獣医師で、沿岸生物を研究する富原聖一さん(53)によると、この繁殖地が形成され始めたのは2024年ごろ。多い時には数千羽が集まるという。富原さんは「ウミネコの繁殖地は通常、陸地から離れた海沿いの島など、安全が確保された場所に限られる。地続きの堤防での繁殖は極めて珍しく、温かく見守ってほしい」と話す。
復興工事により周辺環境が変化し、キツネやタヌキなどの天敵が漁港に近づきにくくなったことが、ウミネコの繁殖を促したと考えられている。地元住民からは、震災からの復興が生態系に新たな変化をもたらしたとして、関心が寄せられている。



