性自認が男女どちらでもない「ノンバイナリー」の50代申立人が、戸籍の続柄を男女の区別に縛られない表記に変更するよう求めた家事審判の抗告審で、大阪高裁(大島雅弘裁判長)は12日までに、男女を区別する運用は「法の下の平等を定めた憲法14条の趣旨に抵触し、是正すべき状態にある」と判断した。
申立人は京都府に本籍を置く。出生届は女性で、戸籍には「長女」と記載され、性別を記載しない「第二子」や「子」などへの表記変更を求め京都家裁に申し立てをしたが却下され、即時抗告した。高裁は抗告について、具体的な制度整備は国会の立法過程を通じて行われるべきだとして8日付で棄却した。
決定理由の詳細
決定理由で大島裁判長は、戸籍に記載すべき性別情報について、いずれにも当てはまらない性自認を有する国民の存在を前提としておらず、戸籍上の性別の表示方法を変更する手段がない現状は「LGBT理解増進法の基本理念に反する」と指摘した。
一方、性別表記の変更には「制度的枠組みの整備が不可欠である」とし、裁判所による訂正許可は相当ではないとした。この判断は、司法と立法の役割分担を明確にしつつ、現行制度の限界を認めたものといえる。
今後の課題
今回の決定は、ノンバイナリーの人々の権利保障に向けた一歩と評価される一方、具体的な制度改正は国会に委ねられた。LGBT理解増進法の基本理念を実現するためには、戸籍法の改正など立法措置が急務とされる。
申立人は「高裁が憲法違反の状態を認めたことは意義深いが、制度改正が実現しなければ意味がない」とコメントしている。



