モーター大手のニデック(旧日本電産)を揺るがす不正問題が、会計面から品質面へと拡大している。2025年に発覚した会計不正の背景には創業者・永守重信氏による「過度なプレッシャー」があったとされるが、岸田光哉社長は13日の記者会見で、新たに明らかになった品質上の不適切行為も同じ根を持つとの認識を示した。
品質不正の実態と影響
岸田社長は会見で「品質は製造業である当社グループの根幹であり、極めて重く受け止めている」と陳謝。さらに「『必ず正しくやる』企業に生まれ変わるために、全役職員が一丸となって着実に改革を進める」と強調した。同社は一連の会計不正を受け、2025年10月に「ニデック再生委員会」を設置。26年1月8日からは生産・開発拠点を対象に自主点検を進めてきた。
自主点検で1000件超の不適切行為
従業員への聞き取りや工程・設計変更記録の照合、全従業員向け通報窓口の設置などを通じ、2020年までさかのぼった点検の結果、1000件を超える不適切行為の疑いが浮上。その96.7%は、納入先メーカーの確認を受けないまま実施した部材・工程・設計の変更で、大半が家電分野に集中していた。岸田社長は家電分野について「比較的自由度がある」と説明。例えば樹脂部品の金型変更や追加の際に確認を怠っていたという。自動車分野でも、子会社「ニデックインスツルメンツ」で同様の事象が確認された。
さらに、出荷検査データが基準を超えていても「適正」と判断したり、生産地表示が不適切だった例もあった。不適切行為の多くはコスト削減が目的で、岸田社長は「あまりにもコストダウンを追求しすぎた」と述べた。
第三者委員会の設置と調査
今回の品質問題を調査する第三者委員会は、伊丹俊彦氏、幕田英雄氏、河合健司氏の3人の弁護士で構成。事案の全容解明、原因分析、再発防止策の提言を担い、調査は8月末をめどに完了する予定だ。
会計不正の経緯と永守氏の責任
ニデックの会計不正を巡っては、弁護士らの第三者委員会が最終報告書を4月にまとめたばかり。数多くの拠点で長年にわたり費用計上の先延ばしや不適切な収益計上などが行われ、純利益の水増し額は2025年4~6月期までの累計で1607億円に上った。第三者委は「最も責めを負うべき」人物として創業者の永守氏を指摘。永守氏は昨年12月に取締役を退くまで社内で絶対的な権力を握っていた。永守氏は「経営者の通信簿」とされる指標で常に高い業績を求め、現場に過度な重圧をかけていたとされる。
この重圧が会計不正だけでなく、品質不正にもつながった可能性が高い。岸田社長は「品質と会計の不正は根が同じ」と述べ、企業風土の根本的な改革の必要性を訴えている。



