深掘り本命チケット購入のため出品 ジャニーズファンが転売サイトに依存した実態
深掘り本命チケット購入のため出品 ジャニーズファンが転売サイトに依存

人気グループ「Snow Man」のチケット高額転売を巡り、東京地裁が2026年3月、転売出品が公演主催者の営業権を侵害することを認める判決を言い渡した。グループが所属する「STARTO ENTERTAINMENT(スタートエンターテイメント)」はこの司法判断を追い風に、公演主催者と訴訟で争った「チケット流通センター」などの転売サイトや高額出品者への取り締まりを強める構えだ。そんな中、公演に通うファンはどんな思いでいるのか。旧ジャニーズ事務所時代から20年近くアイドルを応援し続けてきた、関東在住の会社員女性(29)に話を聞いた。

転売サイトに頼らざるを得ない現実

「ジャニーズ」との出会いは小学生の頃にさかのぼる。きっかけは、母親と何げなく見ていた「SMAP×SMAP」などのテレビ番組だった。小学校高学年になると、友人の姉が熱心なファンである姿に刺激を受け、自身もタレントが出演する番組を真剣に追うようになったという。

中学生になると、お年玉や小遣いをためて、Hey! Say! JUMPやSexy Zone(現timelesz)のコンサートへ足を運ぶようになった。「テレビの中のかっこいい人が、同じ空間にいる。そこは夢の世界でした」と振り返る。

コンサートに複数回行くうち、メイングループの後ろで踊る、デビュー前の「ジャニーズJr.(現ジュニア)」のファンになった。ただ、Jr.単独の公演は年に1度程度。出演を予測してデビュー組のあらゆる公演を申し込んだ。「最初は1公演で満足していたのに、SNSで何公演も入っている人の存在を知り、『私もそうなりたい』と思うようになった」と語る。

転売サイトを利用した理由

ファンクラブの原則は「一名一会員」で、複数枚のチケットを購入するには複数のファンクラブ会員が必要となる。しかし、彼女は本命の公演に確実に入るため、転売サイトで出品者からチケットを購入した経験がある。その際、自身も抽選で当たった別の公演のチケットを転売サイトに出品し、資金を捻出したという。「本命のチケットを買うためには、転売サイトを使うしかなかった」と打ち明ける。

転売への締め付けは、「過熱」を冷ます装置になる一方で、ファンの中には正規ルートで入手できないチケットを求めて、やむを得ず転売サイトに頼るケースも少なくない。彼女は「転売が悪いと分かっていても、どうしても行きたい公演がある。ファン同士で助け合う仕組みがあればいいのに」と複雑な心境を語る。

転売サイトとファンのジレンマ

今回の判決は、転売サイトの責任を明確にした点で画期的だが、ファンの間では「本当に行きたい人がチケットを入手できる仕組みが整っていない」との不満も聞かれる。STARTO ENTERTAINMENTは今後、転売サイトへの法的措置を強化する方針だが、根本的なチケット流通の改善が求められている。

彼女は「ファンクラブの抽選に外れ続けると、どうしても転売サイトに頼ってしまう。正規のリセール市場がもっと充実すれば、転売サイトに頼る必要はなくなる」と期待を寄せる。転売問題の解決には、ファンと主催者双方の理解と協力が不可欠だ。

今後の展望

転売サイトの取り締まりが強化される一方で、ファンの間では「転売ヤー」と呼ばれる不正出品者への怒りも強い。しかし、今回の女性のように、本命チケットを入手するために出品するファンも存在する。この複雑な実態を踏まえ、業界全体でチケット流通の透明性を高める取り組みが急務となっている。