東京電力福島第1原発事故の影響でかつて避難指示区域に指定されていたJR常磐線夜ノ森駅(福島県富岡町)の構内で28日、赤や薄紫色のツツジの花が満開を迎え、訪れる人々の目を楽しませている。除染作業のために一度は伐採され、切り株だけが残る状態となったが、年を経て樹勢を取り戻し、再び美しい花を咲かせるまでに回復した。町の担当者によると、例年通りの気候であれば5月中旬まで見頃が続く見通しという。
原発事故前の風景を取り戻す
JR東日本によると、駅構内の斜面にはツツジ約6千株が植えられており、原発事故前は通過する特急列車が速度を落とし、乗客が車窓から花を楽しむのが恒例となっていた。しかし、2011年の原発事故により周辺は避難指示区域となり、駅も長期間にわたって利用が制限された。その後、除染作業が進められる中で、2017年冬には放射性物質を取り除くため、ツツジの幹や枝が伐採された。伐採後は切り株だけが残る寂しい状態が続いたが、数年前から一部の株が芽吹き始め、徐々に花を咲かせるまでに復活した。
地域住民の期待
ツツジの復活を待ち望んでいた人々は、その光景に感慨を深めている。福島県南相馬市から訪れた67歳の主婦は「今はまだ花がまばらですが、駅構内一面に咲き誇っていたかつての風景に戻ってほしい」と期待を込めて語った。地域のシンボルとして親しまれてきたツツジの復活は、復興の象徴としても注目されている。
富岡町では、今後も樹勢の回復を促す管理を続け、かつての美しい景観を取り戻すための取り組みを進める方針だ。また、観光客の誘致にもつなげたい考えで、駅周辺の整備も合わせて検討している。



