税関が押収した不正薬物が3.2トンに達し、過去2番目の多さに
財務省は2月17日、全国の税関が昨年押収した不正薬物の総量が約3,211キログラム(約3.2トン)に上ったと発表しました。この数値は前年比で15%増加しており、2019年に記録された約3,339キログラムに次ぐ過去2番目の多さとなっています。
インバウンド増加に合わせた密輸の活発化が懸念
特に注目されるのは、航空機旅客による密輸の摘発が大幅に増加している点です。財務省の関係者は、犯行グループが訪日外国人客(インバウンド)の増加に合わせて密輸量を増やしている可能性があると指摘しています。観光客の増加に便乗する形で、国際的な薬物密輸ネットワークが活動を活発化させている実態が浮き彫りになりました。
覚醒剤は減少も航空機旅客による密輸が急増
不正薬物の内訳を見ると、覚醒剤の押収量は前年比53%減の約840キログラムと減少傾向にあります。しかし、航空機旅客による覚醒剤の密輸摘発は93%も増加し、約664キログラムに達しました。これは覚醒剤全体の押収量の実に8割を占める割合です。
大麻押収量が急増、過去最大の摘発事例も
一方、大麻の押収量は約1,531キログラムと前年の3.5倍に急増しています。特に注目すべきは、東京税関が昨年6月に摘発したベトナム人グループによる1,000キログラム超の大麻密輸事件です。この事件は国内で一度に押収された違法薬物量として過去最大の規模となり、組織的な密輸の深刻さを物語っています。
危険な指定薬物「エトミデート」の摘発も
さらに問題となっているのが、「ゾンビたばこ」などと呼ばれる指定薬物「エトミデート」の存在です。この薬物は手足のしびれなどの健康被害や異常行動を引き起こす恐れがあり、昨年中に4件の摘発事例が確認されました。東京税関では2025年12月10日にエトミデートを含む液体を押収するなど、新たな薬物の流入にも警戒を強めています。
税関当局は今後も、インバウンド増加に伴う密輸リスクの高まりに対応するため、検査体制の強化や国際協力の推進に力を入れる方針です。観光振興と薬物対策の両立が、今後ますます重要な課題となるでしょう。