26年前の名古屋女性殺害事件、69歳女性を殺人罪で起訴 名古屋地検が発表
26年前名古屋女性殺害、69歳女性を殺人罪で起訴

26年前の未解決事件が動く 名古屋地検が69歳女性を殺人罪で起訴

名古屋市西区のアパートで1999年に発生した女性殺害事件で、名古屋地方検察庁は2026年3月5日、殺人容疑で逮捕されていた安福久美子容疑者(69)=同市港区=を殺人罪で正式に起訴したことを発表しました。地検は容疑者の認否については明らかにしていませんが、精神鑑定の結果を踏まえ、事件当時の刑事責任能力に問題はないと判断したものとみられます。

事件の概要と発覚までの経緯

事件は1999年11月13日午後2時半ごろ、名古屋市西区のアパート一室で、住人の高羽奈美子さん(当時32歳)が遺体で発見されたことから始まりました。死因は首などを刃物で刺されたことによる失血死でした。安福容疑者は被害者の夫である高羽悟さん(69)の高校時代の同級生であり、事件後長きにわたり未解決のままとなっていました。

転機が訪れたのは2025年10月、現場に残されていた血痕のDNA型と安福容疑者のDNAが一致したことが確認されたことです。これを受けて愛知県警察は同年10月31日、安福容疑者を高羽さんへの殺人容疑で逮捕しました。その後、名古屋地検は2025年11月14日から2026年2月27日まで、容疑者を鑑定留置し、事件当時の精神状態などを詳細に調査していました。

26年間の捜査と容疑者の対応

捜査関係者によれば、愛知県警は容疑者に対し2025年8月からDNAの提供を求めていましたが、当初は拒否されていました。しかし同年10月30日に提供に応じ、県警西署に出頭。逮捕直後には「合っています」と容疑を認めていたものの、その後は黙秘に転じたと伝えられています。

容疑者は逮捕までの26年間について「毎日が不安だった」などと話していたとされます。この事件では2010年に殺人事件などの公訴時効が廃止されたことで捜査が継続され、県警は5千人以上の関係者から話を聞くなど、粘り強い調査を続けていました。

事件の経過と社会的背景

この事件の経緯を振り返ると、1999年6月には被害者の夫と容疑者が同窓会で再会しており、同年11月に事件が発生しています。2009年2月には殺人事件被害者遺族の会「宙の会」が発足し、悟さんも参加。2010年4月の法改正で殺人事件などの公訴時効が廃止されたことが、今回の逮捕と起訴につながる重要な背景となりました。

その後、2015年4月には愛知県警が犯人とみられる女性の似顔絵などを公開し、2020年2月には警察庁が捜査特別報奨金の対象事件に指定するなど、捜査が活発化していきました。

鑑定留置と今後の展開

鑑定留置とは刑事訴訟法に基づく手続きで、精神科医が事件当時の精神状態や、それが犯行に与えた影響などを調べるものです。容疑者や関係者への聞き取りのほか、供述調書の確認、身体検査や心理検査などが行われます。

今回の起訴により、今後は公判前整理手続きが進められる見込みです。裁判員裁判の場合、鑑定留置とは別に、起訴から公判までの間に争点などを絞り込む公判前整理手続きの期間中、弁護側からの請求などを受けて裁判員法に基づく精神鑑定が行われる例もあります。

26年という長い歳月を経て、ようやく司法の場で真相が明らかにされる段階に入りました。被害者遺族や関係者、そして地域社会にとって、この裁判の行方が注目されます。