意識戻らぬ娘に「24時間つきっきり」 父親が証言 妊婦死亡事故公判
愛知県一宮市で昨年5月、妊婦の研谷沙也香さん(当時31歳)が車にはねられ死亡した事故で、自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死)の罪に問われた児野尚子被告(50歳)の公判が13日、名古屋地裁一宮支部(鳥居俊一裁判長)で開かれた。被害者の夫である研谷友太さん(33歳)が証人として出廷し、事故後に生まれた長女の日七未ちゃんの深刻な状態について証言した。
脳にダメージを受け、意識が戻らない状態
研谷友太さんへの取材によると、日七未ちゃんは事故の影響で脳にダメージを受け、現在も意識がなく、完全な寝たきりの状態が続いているという。検察側の尋問に対し、友太さんは「基本的に24時間つきっきりで介護しています」と語り、娘の状態が極めて重篤であることを明らかにした。
具体的な介護内容として、たんの吸引を頻繁に行っており、多いときでは10分から20分に1回のペースで実施していると説明。このような継続的な医療的ケアが必要な状況が、家族に大きな負担を強いている実態が浮き彫りになった。
「私が亡くなったら、娘の面倒を誰が見てくれるのか」
今後の不安について問われると、友太さんは「一番の心配は娘の予後です。私が亡くなったら、娘の面倒を誰が見てくれるのかということが常に頭をよぎります」と悲痛な思いを吐露した。事故によって妻を失い、同時に生まれた娘が重い障害を負ったことで、将来に対する深刻な懸念が募っている様子が伝えられた。
また、児野被告に対する見解として、「事故に向き合っているとは思えません」と述べ、実刑判決を強く望んでいると訴えた。この発言は、被告の責任を厳しく問う被害者家族の切実な願いを反映している。
訴因変更で日七未ちゃんの被害が正式に認定
本件事故をめぐっては、検察側が当初の起訴内容では触れられていなかった日七未ちゃんの被害について言及する訴因変更請求を行い、今年1月の公判で既に認められていた。これにより、胎児だった日七未ちゃんも事故の被害者として正式に位置づけられることとなり、裁判の重要な焦点の一つとなっている。
この訴因変更は、交通事故が妊婦と胎児の両方に与える深刻な影響を司法の場で明確にした点で意義深い。被害者家族にとっては、娘の苦しみが法的に認められたことになるが、それでも失われた日常を取り戻すことはできない現実が重くのしかかっている。
公判では、友太さんの証言を通じて、一瞬の過失が家族全体の人生を大きく変えてしまう交通事故の残酷さが改めて浮き彫りにされた。今後も裁判の行方が注目される中、被害者家族の長い闘いが続いていく。



