東京都板橋区は、高島平団地の一部を賃貸タワーマンションに建て替える計画に伴うまちづくり報告会を、2024年9月以来、約1年半ぶりに開催した。しかし、参加者はわずか14人で、区と住民の間で質疑がかみ合わない場面が目立った。
再開発計画の概要
都市再生機構(UR)は、旧高島第七小学校跡地などに高さ約110メートルのタワーマンション1棟を建設する代わりに、高島平団地33街区(7棟、計1955戸)を解体する方針。区は旧高七小西側の区道を延伸し、都道の高島通りと接続する計画を進めていたが、安全面などの理由で住民の反対に遭い、計画は延期されている。
報告会の実態
3月27日夜、高島平区民館ホールで開かれた報告会。区は300人収容の会場にテントやモニターを設置し、「先着100人」と告知したが、実際に参加したのは記者を含む14人だけだった。会場の大部分が空席という寂しい状況だった。
これまで区は、タワマン計画に関する情報をホームページに掲載する程度だったが、今回は新聞折り込みの区広報紙にも掲載し、周知に力を入れていた。それでも参加者が少なかったのは、住民の関心の低さや不信感の表れとも受け取れる。
2024年9月の説明会では「住民無視の内容」と紛糾し、その後区はオープンハウス型や個別相談会に切り替えていた。2025年9月には団地住民らがURと区の合同説明会を求めて陳情したが、10月の区議会本会議で不採択となった。
報告会の内容と質疑
区が報告したのは、個別相談会「Takamachi BASE(タカマチベース)」で寄せられた声や区の取り組みについて。タカマチベースは2024年7月から月1~4回、旧高七小の職員室などで計21回開かれ、延べ364人が来場した。
報告会では職員9人がマイクを握り、取り組みを発表。ある職員は約50年前に植樹された高島平緑地などの緑を生かし、育てるプロジェクトの開始を報告し、「街の緑を活用した参加型・体験型ワークショップを委託事業として本格実施する」と述べた。
しかし、分譲団地に住む高齢男性は「緑がほしいのはもちろんいいが、その前に衣食住が侵されようとして皆が苦しんでいる。この話はない」と苦言を呈した。
日照権に関する質問も出た。「110メートルのタワマンが建つと日照権の問題がある。家に太陽が差すまでどのくらいの時間がかかるのか。住民と一緒に考える体制を作ってほしい」との要望に対し、区は「建物のプランがないので日陰のシミュレーションは示せない。一般論として日陰はまだ分からない」とそっけない回答。高島平まちづくり推進課の佐伯和宏課長が「納得がいかないかもしれない。建物が決まらないと日陰が分からないのは不安だ」と理解を示した。
まちづくりの方向性そのものへの疑念も。「皆さんがやっておられたのはソフト面。肝心なハード面との区分けをして整合性を持たせないと、本当のまちづくりはできないのでは」との声に、区側は「URと力を合わせて情報発信したい。ハードを含めた心配事は当然ある。しっかり話を聞かせていただきたい」と答えた。
区はこれまでまちづくりを主導する方針を示してきたが、報告会では住民の不安に正面から応えているとは言い難いやりとりが繰り返された。最後に佐伯課長は「こういう場は貴重で大切。今日来て分かった。ちゃんと伝わっている。受け止めている」と述べ、議論を締めくくった。



