埼玉県調査で明らかになった男性DV被害の実態
埼玉県が実施した男女共同参画に関する意識・実態調査により、配偶者や恋人からの暴力(DV)を受けた経験がある男性が県内で約15%に上ることが明らかになりました。この調査結果は、男性のDV被害が深刻な社会問題であることを浮き彫りにしています。
調査の概要と実施方法
埼玉県は、男女の平等に関する現状を把握し、今後の施策に反映させるため、5年に1度のペースで意識・実態調査を実施しています。昨年9月には、県内に住む満18歳以上の男女を対象に調査を行い、合計2,233人から有効回答を得ました。県は今年2月中旬に集計結果を公表し、男性のDV被害に関する驚くべきデータを提示しました。
具体的な被害内容と相談状況
調査によると、恋人や配偶者から身体的暴行、心理的攻撃、経済的圧迫などの被害を受けたことがあると回答した男性は15.4%に達しました。暴力の種類別では、暴言や脅迫などの心理的攻撃が最も多く報告されています。
さらに深刻なのは、DV被害を受けた男性の約8割が「相談できなかった」あるいは「相談しようとは思わなかった」と回答した点です。この数字は、男性被害者が適切な支援を受けられずに孤立している実態を如実に物語っています。
一方、女性のDV被害経験者は26.1%で、男性よりも高い割合を示していますが、男性の被害も無視できないレベルであることが確認されました。
県の取り組みと今後の対策
埼玉県はこれまで、月に2回の頻度で男性臨床心理士が対応する電話相談を実施してきました。しかし、今回の調査結果を受けて、男性のDV被害に対する支援の必要性が高まっていると判断し、新年度からは男女共同参画推進センター(さいたま市中央区)での電話相談を週1回に拡充する方針です。
県はまた、被害を受けた男性が相談しやすい環境づくりに力を入れています。具体的には、検索サイトで特定のキーワードを検索した際に、県の相談窓口の広告が表示される仕組みを強化するなど、周知活動を積極的に推進しています。
新年度の当初予算案には、心理カウンセリングやグループワークを通じて加害者の更生を促すプログラムを含む関連経費として930万円が計上されました。この予算は、男性被害者への直接支援だけでなく、問題の根本的な解決にも取り組むためのものです。
担当者のコメントと今後の展望
県人権・男女共同参画課の担当者は「男性もDV被害を受けている現状があり、この問題が自殺など重大な事案につながる可能性があります。改善のために、気軽に相談できる態勢整備を進めていきたい」と述べています。
この調査結果は、DVが性別に関係なく起こり得る社会問題であることを改めて認識させるものです。埼玉県の取り組みが、他の自治体にも影響を与え、全国的な男性DV被害者支援の充実につながることが期待されます。



