高学歴娘が専業主婦に…親の複雑な思いに共感続く 家族社会学の専門家が指摘する背景
高学歴娘が専業主婦に…親の思いに反響続々

高学歴娘の専業主婦選択に親の複雑な思い

結婚や出産後も働き続ける女性が増える一方で、結婚を機に専業主婦の道を選ぶ女性も少なくありません。読売新聞のユーザー投稿サイト「発言小町」に、新卒3年目の娘が結婚を機に専業主婦になりたいと申し出たことに、割り切れない思いを抱く母親からの投稿が寄せられ、大きな反響を呼んでいます。女性の生き方が多様化する現代において、親子間で認識のずれが生じている実態が浮き彫りになりました。

留学経験ある国立大学院卒の娘の決断

「高学歴娘、専業主婦になる」というタイトルで投稿したのは、トピ主の「桜子」さんです。桜子さん自身は夫と共に正社員として共働きを続け、いわゆる「2馬力」の収入で家庭を支えてきました。そのため、子どもたちには中学受験や塾の費用、都会での一人暮らしの費用、留学や旅行の費用などを惜しみなく投資してきました。

その結果、娘さんは留学を経て国立大学の大学院に進学し、卒業後は大手メーカーの研究職に就職。都会暮らしで転勤がなく、高待遇の職場環境に恵まれていました。しかし、社会人生活3年目を迎えた娘さんが「結婚して専業主婦になる」と宣言したのです。

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理由を尋ねると、結婚相手の男性が勤める企業では、入社後20年ほど全国各地の工場を転勤し続けなければならないため、仕事を辞めて彼についていくことを決めたというのでした。

親としての複雑な心情と経済的懸念

桜子さんは投稿の中で次のように心情を綴っています。「娘の選択なので口を出すことができず、『本当に仕事辞めるの?』としか言えませんでしたが、母として複雑な気持ちです。若いうちに仕事を辞めて娘のキャリアが台なしにならないか、1馬力だと、育った家庭よりも世帯収入が大きく下回る可能性が高いけれど不満を感じないかと心配です」

さらに、「娘にはお金の話をあまりしてこなかったためピンと来ていない部分が多いと思います。ここまで手塩にかけたのに、正規で働いたのが数年だけなんてショックです。その反面、私たち夫婦が共働きで寂しい思いをさせていたのかな、だから専業主婦になりたいのかな、と悲しいです」と打ち明けています。

投稿に寄せられた多様な反響

この投稿には120件以上の反響が寄せられ、「エール」マークも600回以上押されました。多くの意見が「仕事を辞めるのはもったいない」というものでした。

  • 「結婚で退職なんて、結婚相手の男性に自分の人生を賭けるようなものでしょう? 本当に『もったいない』の一言です。いずれ働きに出る時はパートや派遣社員になるのでしょうし、それなら高い学歴など要らなかったですよね」
  • 「30歳前後で専業主婦になった場合と、定年まで正社員として働いた場合、生涯年収は2億円の差(厚生年金を含む)が出るとも言われています。パートでも1億6千万円の差ですから、大きいですよね」
  • 「一度手放したらそんな良い仕事、もう見つからないでしょう。娘さんは自分の立ち位置や育ちがどれだけ恵まれているのか分からないのでしょうね」

一方で、専業主婦の道を肯定的に捉える意見もありました。

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  1. 「私も一流企業でバリバリに働いていたけど、結婚相手が転勤族で遠方に転勤となったため、仕事を辞めてついていきました。専業主婦でいる間、華道や書道の資格を取ったり、料理をばっちり学んだり、保育士の資格も取りました」
  2. 「娘さんが、仕事を辞めてでもついていきたい彼と出会えたと考えたらいいのでは? 私の夫も転勤族でしたので、ずっと帯同してきました。私は今、在宅フリーランスで仕事をしています」
  3. 「国立の大学院を卒業してけっこうな月日がたちましたが、当時の女性の学友の多くは、30歳前後で出産し家庭に入って、立派に子育てを遂げた人たちがたくさんいます」

専門家が指摘する日本の特徴的傾向

中央大学教授で家族社会学が専門の山田昌弘さんはこの投稿について、「日本は世界的に見ても珍しく、学歴が高い女性ほど専業主婦率が高いという統計的な特徴があります。多くの教育費をかけて育成した人材が労働市場に参加しないことは、日本経済全体にとって損失ですが、それがいまだに続いているのでしょうね」と指摘します。

高学歴の女性ほど専業主婦率が高い背景として、高収入の男性と出会いやすく、結果として「夫の収入だけで生活できる」からと仕事を辞めてしまう傾向があることを挙げています。しかし、将来への不確実性が増す現代において、経済的な問題を実感するためにも、家族間で遠慮せずにお金の話をすることが大切だと強調します。

山田さんは具体的な提案として、「今からでも、娘さんに『仕事を辞めるなら、これまで親がかけた学費を返しなさい』と言ってはどうでしょうか。欧米のように自分で奨学金を借りて学費を払っている場合、それを無駄にしないよう必死に働き続けるのは当然のこと。親に出してもらったものは、いわばタダでもらったものなので、本人はそれを捨てても全然痛みを感じず、惜しいとも思わないのでしょう。だからこそ、はっきりと問題点を指摘することが時には大切です」と述べています。

多様化する女性の生き方と親子の対話

女性の中には、不本意ながら「結婚して辞める」という道を選択する人もいるでしょう。投稿へのコメントには、「キャリアを捨てて後悔するのも、専業主婦になって後悔するのも、離婚して困るのも、子供ができてお金が足りなくて困るのも、娘さんの自由であり権利です」という声もありました。

親であっても、子どもの人生の決断に口をはさむことは難しいものです。しかし、親子の間でお金の話をしっかりとしておくことが、子どもの仕事観や人生観を醸成することにつながる可能性があります。女性の生き方が多様化する中で、親子間の対話の重要性が改めて問われていると言えるでしょう。