連載「授乳に我慢は必要ですか」の第3回は、筆者がイギリスと日本での授乳経験を比較し、日本の授乳環境の課題を考察する。
イギリスでの自由な授乳体験
筆者は約5年間ロンドンで暮らし、生後3カ月の子どもを連れて渡英した。初めての子育てに余裕はなかったが、母乳育児をしていた1歳までの外出は、神経質さから解放される貴重な時間だった。授乳時間に合わせて出かけ、カフェや公園で大きめの布を首に巻いて授乳。20~30分かかる授乳中は安心して座り、夫や友人と落ち着いて話せた。布なしで授乳しながら会話する女性も多く見かけた。
日本での違和感
帰国後、室内遊び場で「ここで授乳しないでください」というポスターを発見。すぐ近くにカーテンで区切られた授乳スペースがあったが、そこに移動すると遊ぶきょうだいを見守れず、友人との会話も中断される。一方で、子どもを持つ前、親類が授乳ケープを使用した際に目のやり場に困った経験も思い出す。
授乳室の増加と新たな問題
日本では授乳室が増えているが、個室ブース型が主流で、母親が孤立しやすい。公共の場での授乳が「特別な行為」と見なされ、母親の負担が隠されがちだ。イギリスのように「生活の一部」として受け入れられる社会が理想的だが、日本ではタブー視される傾向がある。
授乳は母親と子どもの自然な行為であり、社会全体で理解を深める必要がある。授乳室の整備だけでなく、公共の場での授乳を認める寛容さが求められる。



