性被害者600人の声が明らかにする捜査・裁判過程の深刻な課題
勇気を振り絞って性被害を訴え出たにもかかわらず、事件の捜査を担当する警察官や検察官の理解不足や不適切な言動によって、さらなる心の傷を負わされる「二次被害」の実態が、性暴力被害者約600人を対象とした大規模アンケート調査によって浮き彫りとなった。
被害者代理人弁護士が指摘する組織的な問題
被害者代理人も務める弁護士らは、この調査結果を受けて「冤罪(えんざい)も救われない被害者も、同じような適当な事件処理から生まれている」と強く指摘。警察や検察といった捜査機関が、組織として性暴力の特性や被害者心理に関する専門的な研修に本格的に取り組むべきだと訴えている。
2025年実施のオンラインアンケート詳細
このアンケート調査は、大阪地検検事正(当時)が準強制性交罪に問われている事件で被害を訴える女性検察官とその支援者らによって、2025年10月から12月にかけてオンラインで実施された。有効回答数は603件にのぼり、調査団体は2026年3月2日に会見を開いて速報値を公表している。
性犯罪をめぐる法制度では、2017年に強姦(ごうかん)罪が強制性交罪に改正され、2023年には処罰範囲が明確化されて同意の有無に主眼を置く不同意性交罪が導入されるなど、近年大きな変化が見られる。検察統計調査によれば、不同意わいせつ・性交(準強制わいせつ・性交を含む)の送致件数は、2022年の5316件から2024年には7860件へと顕著に増加している。
被害者が直面する具体的な二次被害の実例
アンケート回答者からは、捜査過程で「あなたにも落ち度があったのでは」といった被害者を責めるような発言を受けたという具体的な体験が数多く報告された。このような対応が、被害者の心理的負担をさらに増大させ、司法手続きへの信頼を損なう要因となっている実態が明らかになった。
調査を主導した関係者は、性暴力被害者が捜査や裁判の過程で適切な支援と配慮を受けることの重要性を強調。現行のシステムが被害者にとってどれほど過酷なものとなり得るかについて、社会全体で認識を深める必要があると指摘している。
今回の調査結果は、性犯罪被害者支援の在り方や司法手続きの改善に向けた具体的な議論の素材として、今後各方面で活用されることが期待されている。専門家らは、被害者中心の視点に立った制度設計と実践が急務であると訴えている。



