「推し活」は平和な社会があってこそ実現できる
アイドルファンの22歳女性が呼びかけた反戦スタンディングデモが2026年4月8日、大阪市の梅田駅前で開催された。このデモは3月中にも2度実施され、合計で1300人以上が参加したという。主催者は特定の団体ではなく、大阪府在住の当時大学生だったmoniさん(22)だ。
色とりどりのペンライトが街を照らす
初めて開催された3月19日夜、梅田駅前のヨドバシカメラ前は多様な色のペンライトの光で埋め尽くされた。参加者たちは「NO WAR」や「平和憲法を守る」と書かれたプラカードを手に、静かに立ち続けた。声高に叫ぶことはなく、隣の人と談笑したりスマートフォンを見たりする人もいた。参加者の8割から9割が女性だったという特徴的な光景が広がった。
moniさんが政治に関心を持ったきっかけは、高校時代にK-POPアイドルを好きになったことだった。彼女の「推し」は中国、タイ、台湾など多国籍のメンバーで構成されるグループ。国際情勢が不安定だとグループの存続自体が危ぶまれ、日中韓の関係が良好でなければ日本でのライブ開催も困難になる。政治が突然、身近な問題として感じられるようになったという。
憲法改正への危機感が行動を促す
2026年2月の衆院選で自民党が大勝し、戦争放棄を定めた憲法9条の改正が現実味を帯びてきたと感じたmoniさん。「何か行動を起こさなければ」と考え、初めて市内のデモ行進に参加した。しかし、従来のデモの雰囲気に怖さを感じ、集会やデモ行進への参加には高いハードルがあることを痛感した。
「スタンディングデモなら、もっと気軽に参加できるのではないか」という思いから、彼女は自らデモの企画を始めた。SNSを通じて呼びかけを行い、多くの若い女性たちが共感を示した。
新しい形の政治参加として注目
このデモの特徴は、従来の抗議活動とは異なるアプローチにある。参加者たちは大声でシュプレヒコールを上げる代わりに、静かに立ち、ペンライトを掲げて意思表示を行う。アイドルファンが集まるライブ会場のような雰囲気で、政治活動に不慣れな若者でも参加しやすい環境を整えている。
脚本家の梶原阿貴氏は2026年4月8日付のコメントで、3月28日に東京で開催された類似の「オタクデモ」について言及。声優がスピーカーを務め、著名な漫画家も多数参加するなど、これまでとは異なるアプローチが広がっていると指摘した。
若者たちの間では、自分たちの文化や趣味を通じた政治参加の形が模索されている。平和な社会がなければ、アイドル活動もファンの「推し活」も成り立たないという認識が、静かながら確かな広がりを見せている。



