熊本県のHPVワクチン接種率が低迷、子宮頸がん罹患率は全国で3位に
子宮頸がんを予防するHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンの接種率が、熊本県では全国平均を下回っていることが明らかになりました。一方で、県内の子宮頸がん罹患率は全国で3番目に高く、深刻な課題となっています。国はこの状況を踏まえ、3月まで定期接種の機会を逃した女性を対象とした救済措置「キャッチアップ接種」に取り組んでいます。
接種率の低さと国の対応
HPVワクチンは2013年から予防接種法に基づき定期接種化されましたが、接種後の痛みや運動障害などの副反応が報告されたことから、国は2022年3月まで積極的な勧奨を中止していました。その後、有効性が副反応のリスクを上回ることが認められ、国は中止期間中に接種機会を逃した女性の費用を公費で負担する「キャッチアップ接種」を開始しました。
この救済措置では、1997年度から2007年度生まれで昨年3月までに1回目または2回目の接種を終えた女性を対象とし、3月までは2回目と3回目の接種を無料としています。利用しない場合は自己負担となり、来年度から定期接種で使用される「9価ワクチン」の場合、3回で計8万から10万円程度の費用がかかるとされています。
熊本県の現状とデータ
熊本県の定期接種率は2022年度から2024年度にかけて、7.8%から13.2%の範囲で推移しており、いずれも全国平均(8.4%から13.9%)を下回っています。2024年度では全国で35番目と低迷しています。厚生労働省によると、国内では毎年約1万人の女性が子宮頸がんにかかり、約3000人が亡くなっているとされています。
県医師会のまとめでは、2021年の子宮頸がん年齢調整罹患率は17.4%で、都道府県別では全国で3番目に高かったことが報告されています。このデータは、接種率の低さが罹患率の高さに直結している可能性を示唆しています。
現場の声と取り組み
熊本市の女性は1月下旬、ワクチン接種のために福田病院を訪れました。悩んだ時期もあったものの、周囲のアドバイスを受けて接種を決意したと語っています。県医師会は「HPVワクチンは子宮頸がんの発病を予防する証拠がある」と強調し、接種率向上に向けて希望する人が適切に接種できる体制を整えていると述べています。
さらに、HPVは男性から女性に感染する場合もあると指摘され、高森町では2024年度から県内で初めて男性の接種助成を開始しました。町は、HPVが原因と考えられる中咽頭がん、肛門がん、尖圭コンジローマなどの感染予防にも期待できるとしています。
このような取り組みが広がる中、熊本県では接種率向上と子宮頸がん予防に向けた継続的な努力が求められています。国や地方自治体、医療機関が連携し、正確な情報提供とアクセスしやすい接種環境の整備が急務です。



