外科医の一言が導いた義肢製作の革新
東京都練馬区にある愛和義肢製作所では、義肢装具士の林伸太郎代表(51)が、けがや病気で身体の一部を失った人々のために、驚くほど精巧な義肢を製作している。しわや指紋、浮き上がる血管まで再現されたその作品は、本物の手と見分けがつかないほどリアルだ。
手作業からデジタル技術への転換
同製作所は2004年の開業当初、林代表が一人で手作業に取り組んでいた。2014年のテレビ出演後、注文が殺到し、予約は2年先まで埋まった。しかし、手作業では一日に2個仕上げるのが限界で、作業に追われる日々が続いた。
そんな中、林代表は知人の外科医から掛けられた言葉を思い出した。「これからは人に伝え残すことをしなさい」。この一言が、技術を伝承する重要性を痛感させ、2016年にデジタル技術の導入を決断した。3Dスキャンとデータ化により、作業効率が向上し、技術の共有も容易になった。
職人の技と心が込められた製作現場
現在、同製作所には10人の職人が在籍し、一日に7~8個の義肢を製作している。型の内側からシリコンを何層にも重ね、自然な色合いと厚みを立体的に再現する工程は、職人ならではの細やかな技が光る。
林代表は、依頼者の思いや経緯をじっくり聞くことを心がけている。「その人」に合った義肢を作るためだ。出来上がった義肢を見て、「おー、おかえり」「お父さんの手だねぇ」と喜ぶ声を聞くたびに、やりがいを感じるとほほ笑む。
多岐にわたる製品と今後の展望
同製作所の製品は、義指、義手、義足、義耳など多岐にわたる。しわや指紋などの細部まで再現された義耳や義指は、依頼者の生活の質を高める重要な役割を果たしている。
問い合わせは平日午前9時から午後5時まで、愛和義肢製作所(電話0120-156815)で受け付けている。林代表と職人たちは、これからも技術を磨きながら、一人ひとりの人生に寄り添う義肢作りを続けていく。



