諏訪マタニティークリニック、不妊治療外来を2027年3月で閉鎖へ
長野県の諏訪マタニティークリニックが、不妊治療の外来診療を2027年3月で閉鎖することが明らかになった。同クリニックは、国内で初めて代理出産の実施を公表するなど、産科医療のあり方に問題提起を続けてきた根津八紘医師(83歳)が院長を務めており、この決定は医療界に大きな波紋を広げている。
閉鎖の背景と詳細
同クリニックによると、不妊治療を専門とする「こうのとり外来」では、体外受精のための採卵を2026年12月で終了し、外来診療自体を2027年3月で閉める予定だ。また、分娩や手術の受け付けも2026年12月に終了する。閉鎖の理由として、根津院長の高齢化や後継者確保の難しさ、分娩件数の減少などが挙げられている。ただし、婦人科の一般外来診療は継続される見込みだ。
クリニックの歴史と独自の取り組み
諏訪マタニティークリニックは1976年に開院し、産科医療の分野で革新的な活動を展開してきた。具体的には、夫婦の受精卵を用いた第三者の女性による代理出産、複数の胎児を妊娠した場合のリスク軽減を目的とした減胎手術、家族からの卵子や精子提供など、独自の医療サービスを提供してきた。これらの取り組みは、関連学会との対立を招くこともあったが、根津院長は常に患者の立場に寄り添い、産科医療の変革を目指してきた。
根津院長のコメント
根津院長は読売新聞の取材に対し、「患者に寄り添い、産科医療の世界を変えたいと思い頑張ってきたが、続けてきた診療の維持が難しいと判断した」と語った。この発言は、長年にわたる医療活動の終焉を暗示しており、医療現場における高齢化や人材不足といった課題を浮き彫りにしている。
同クリニックの閉鎖は、不妊治療を必要とする患者にとって大きな影響を与える可能性がある。また、代理出産や減胎手術など、倫理的議論を呼ぶ医療行為を推進してきた施設の縮小は、日本の産科医療の未来について新たな議論を喚起するだろう。



