高知県は県立大学と連携し、病気などで自宅療養中の患者を支援する「訪問看護師」の育成に注力している。同大が2015年から開始した育成講座は、これまでに200人以上が受講し、県内の訪問看護師数は倍以上に増加した。しかし、高齢化に伴う需要増加により、目標数には依然として届いていない。今年度はオンラインで受講可能な科目を拡充し、新卒者らの参加を促進する。
育成講座の内容と成果
県在宅療養推進課と県立大学によると、急速な高齢化を背景に、訪問看護師の確保と地域偏在の解消を目的として育成講座を開講。訪問看護師は通常、病院などでの臨床経験を経てから就くケースが多いが、本講座では現場経験のない新卒者でも在宅ケアのノウハウを学べるよう、座学に加え、スタッフが同行して実際に利用者宅を訪問する実践的な内容を提供している。
講座修了後も、修了者を対象とした研修や交流が行われ、質の向上だけでなく職場への定着にもつながっている。これまでに204人が修了した。
訪問看護師数の増加
県内の訪問看護師数は、講座開始前の2014年度は211人だったが、10年後の2024年度には約2.6倍の544人に増加。人口10万人あたりの訪問看護師数も、2014年度は28.6人と全国平均(31.6人)を下回っていたが、2024年度は82.9人と全国平均(78.6人)を上回った。
しかし、利用者数は増加し続けており、2027年度の確保目標(622人)には達していない。また、訪問看護ステーションの約8割が高知市などの中央圏域に集中するなど、地域偏在も課題となっている。
今年度の取り組み
今年度からは、遠方からの参加を容易にするため、オンラインで受講可能な講義を増やしたほか、所属看護師の研修参加によるステーションの負担軽減を目的に、全コースを人件費補助の対象とした。
今年度の受講者は新卒者ら14人。5月12日に県立大学池キャンパスで行われた開講式では、地域共生学研究機構長の久保田聡美氏が「訪問看護という職種が、利用者や家族の希望となる存在になってほしい。心許せる仲間と心強い教師陣で支えるので、皆さんも自信を持って学んでほしい」と激励した。
新卒コースを受講する女性(21)は「臨床経験がなく技術面などで不安があったが、サポートしていただけるので安心できる。住み慣れた地域で最期まで過ごせる支援ができるようになりたい」と意気込みを語った。
県在宅療養推進課は「訪問看護を始めて2年目以内の人や、看護経験にブランクがある人も対象に実践的な講座を行っている。訪問看護に関わりたいという思いがある人に、積極的に参加してほしい」と話している。



