品川区が新設「Kitara」で多様な就労体験を提供 障害・難病・ひきこもり支援
東京都品川区は、障害や難病、ひきこもりなどの当事者が持つ「働きたい」という思いを支えるため、新たな就労体験事業を開始した。旗の台に開設された支援施設「Kitara(きたら)」を拠点に、多様な働き方を応援する取り組みを進めている。利用者は無料で就労体験や週20時間未満の「超短時間雇用」を経験でき、再就職を目指す人々の新たな一歩となっている。
遠隔ロボット「OriHime」で自宅から接客も可能
Kitaraは東急旗の台駅近くのビル1階と地下1階に設置されている。1階には区内の障害者就労施設で作られた商品や地域の名品が並び、カフェのような温かい雰囲気が特徴だ。特に注目されるのは、遠隔操作ロボット「OriHime(オリヒメ)」を活用した接客システムである。利用者は自宅からこのロボットを操作し、施設内での接客業務を体験できる。交流用のテーブルも設けられ、人とのつながりを育む場として機能している。
働く意欲は高まるも定着課題 段階的支援で解決
品川区によると、区障害者就労支援センターへの登録者は増加傾向にあり、働く意欲が高まっている。しかし、仕事を始めた後に職場環境になじめず、定着できないケースも少なくない。この課題を解決するため、同区は昨年9月、自分のペースで働くことを体験できるKitaraを開設した。「ここに来たら誰かとつながれる」「ここに来たらチャレンジできる」という思いが込められた施設だ。運営は社会福祉法人「げんき」が担っている。
就労体験と超短時間雇用で実践的訓練
就労体験は、区内外の子どもから大人まで予約なしで利用可能。商品をPRするPOP作りなどの事務補助やOriHimeの操作など、多様な業務を体験できる。開所から今年1月末までに約160人が利用した。一方、超短時間雇用は、障害などの理由で長時間働くことが難しい区内在住者が対象。電話予約後に見学や面談を行い、Kitaraで接客や清掃、商品陳列、チラシづくりなどの実習を1~5日間実施する。
個別の意向を尊重した段階的支援プログラム
実習後は、Kitaraで超短時間雇用として1~3カ月働くか、支援センターや就労施設など次のステップへの提案を受ける。超短時間雇用後も同様に次の段階へのアドバイスが提供される。スタッフは利用者の意向を丁寧に聞き取り、一人ひとりに合った支援を心がけている。例えば、清掃の仕事をけがで続けられなくなった40代男性は、昨年11月と12月に超短時間雇用を利用。初めて接客などを経験し、現在は再就職を目指して準備中で、「チャレンジしてよかった。体が続く限り働きたい」と語っている。
営業時間と問い合わせ先
Kitaraの営業は火曜から金曜が午前11時から午後6時、土曜が午前10時から午後5時まで。問い合わせは電話03(6433)2579まで。この取り組みは、多様な背景を持つ人々が社会参加する機会を広げ、持続可能な就労を実現するモデルとして期待されている。



