大阪市が絆HD傘下の障害者就労支援事業所を指定取り消し、不正受給110億円の返還を要求
大阪市は3月27日、福祉関連会社「絆ホールディングス」(絆HD)傘下の四つの「就労継続支援A型事業所」が2024年度から2025年度にかけて、障害者就労支援の加算金を不正に受け取ったとして、障害者総合支援法に基づき、5月1日付で事業者の指定を取り消すと正式に発表しました。
不正受給額は合計で約150億円と算定されており、このうち大阪市の支払い分にペナルティーを上乗せした計約110億円の返還を強く求めています。今回の措置は、福祉制度を悪用した大規模な不正行為に対する厳格な対応として注目を集めています。
不正手法の詳細と制度趣旨からの逸脱
不正と判断された四つの事業所は、絆HDのグループ会社などが運営する「リアン内本町」「レーヴ」「リベラーラ」「ミライム」で、いずれも大阪市内に所在しています。発表によれば、これらの事業所は2024年度以降、利用者を事業所内の運営側スタッフとして半年間以上雇用した後、再び利用者に戻す手法を繰り返し実施。
この手法によって、「就労移行支援体制加算」と呼ばれる加算金を不正に受給していたとされています。この加算金は、事業所を利用した障害者が半年間継続して勤務できた場合に、利用者が居住する自治体や国から事業所に支払われる制度です。
本来は障害者への継続的な支援を行う事業所を後押しするための制度ですが、大阪市は四事業所の手法について「制度の根本的な趣旨に完全に反する行為」と厳しく判断しました。市は刑事告訴や告発の可能性も含めて、法的措置を検討していることを明らかにしています。
大規模な監査結果と広域に及ぶ影響
大阪市は昨年8月から四事業所に対する詳細な監査を実施してきました。監査結果によると、四事業所が運営側スタッフとして雇用した人数は合計1,114人に上り、不正に受け取った加算金の総額は約150億円に達すると算定されました。
このうち大阪市の支払い分は約79億円で、残りの約71億円は大阪府内や京都府、奈良県、埼玉県など二府五県の計75市町が支払っていたことが判明しています。この事実は、不正行為が単一自治体にとどまらず、広域にわたって影響を及ぼしていたことを示しています。
絆HDの対応と今後の展開
絆HDは3月27日、自社のホームページ上で「今回の処分を非常に重く受け止めている」と謝罪文を掲載しました。同社は四事業所を4月末で閉鎖し、現在利用している障害者たちの新たな受け入れ先を確保することを約束しています。
一方で、手法が不正と判断されたことについては「見解を異にする部分があり、今後、法的手続きの中で自社の考えを詳細に述べていく」と表明。行政処分に対する異議申し立てや法的対応の可能性を示唆しています。
この問題は、障害者福祉制度の適正な運用と監視体制の強化が急務であることを浮き彫りにしました。大阪市をはじめとする関係自治体は、同様の不正を防止するため、福祉事業所に対する監査体制の抜本的な見直しを進めていく方針です。



