認知症の人を支えるキャッシュレス決済 買い物支援から広がる効果と課題
認知症の人を支えるキャッシュレス決済 買い物支援の効果

認知症の人と資産管理の新たな一手 キャッシュレス決済が買い物支援に活用

認知症と軽度認知障害の人は高齢者の約3割を占め、その保有する家計資産は総額で約260兆円にものぼると推計されています。しかし、多発する詐欺や消費者トラブルから彼らを守る一方で、過度な保護は本人の金銭利用を制限することにもつながりかねません。この難しい課題に対して、「キャッシュレス決済」を活用した支援サービスが、静かにではありますが確実に広がりを見せています。

蒲郡市での実践例 ホームヘルパーが専用カードで買い物を代行

温暖な気候とミカンの産地として知られる愛知県蒲郡市。ここでは、認知症などでお金の管理が難しくなった高齢者の日々の買い物を、キャッシュレス決済によって支援する取り組みが行われています。

ある90代の女性は、10年ほど前にアルツハイマー型認知症と診断され、要介護度1と認定されています。彼女は成年後見制度と介護保険による複数のサービスを組み合わせながら、一人で暮らす自宅での生活を続けています。ホームヘルパーが定期的に訪問し、「今日は何か特にほしいものありますか」と尋ねると、女性は「いつも通りでええよ」と答えます。

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ヘルパーは女性宅で専用の「カード」を預かり、車で5分ほど離れた店舗に向かいます。レーズンパン、ヨーグルト、電子レンジで温めるおでんやお総菜など、おおむね2日分の食材13点を購入。合計金額は1988円でした。セルフレジの機械にカードを差し込むと、決済は瞬時に完了します。この仕組みにより、女性は本格的な調理は難しいものの、電子レンジなどを扱いながら自宅で食事を準備することが可能になっています。

保護と利用の両立を目指して キャッシュレスがもたらす可能性

このキャッシュレス決済を利用した買い物支援サービスは、単なる便利さを超えた重要な役割を果たしています。まず、現金を直接扱わないため、詐欺や誤った支払いのリスクを大幅に軽減できます。また、利用履歴が明確に記録されるため、後見人や家族が支出を把握しやすく、適切な管理が可能になります。

さらに、本人がある程度の自立性を保ちながら生活できる点も大きなメリットです。過度に保護しすぎると、かえって本人の尊厳や生活の質を損なう可能性があります。キャッシュレス決済は、必要な支援と本人の意思尊重のバランスを取るための有効なツールとして注目されています。

蒲郡市社会福祉協議会の関係者は、「数秒で入金や決済ができるこのシステムは、利用者にも支援者にも負担が少ない」とその利便性を強調します。高齢化が進む日本社会において、認知症の人々の資産を守りながら、可能な限り普通の生活を送れるようにするための模索は続いています。キャッシュレス技術は、その新たな解決策の一つとして、今後さらに活用が広がることが期待されています。

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