刑務所作業製品が新たな人気に、デザイン性と社会貢献で支持拡大
刑務所や少年刑務所で受刑者が製作する「刑務所作業製品」への注目が急速に高まっている。従来からの大型家具に加えて、デザイン性を重視した雑貨など、その種類は多様化しており、購入が犯罪被害者支援に役立つ社会貢献の側面も評価されている。
全国矯正展で約2000種類の製品が展示、来場者数も増加
昨年12月に東京都内で開催された「全国矯正展」では、色鮮やかなバッグやアクセサリー、頑固な汚れを落とすと評判の石鹸、美味しいと話題のパスタなど、約2000種類、計約6万点の製品が並んだ。この催しは刑務作業の重要性を広く伝えることを目的としており、全国の刑務所などで作られた商品を販売している。2日間の来場者数は前年を上回る約3万8000人に達し、さいたま市の主婦(46)は「おしゃれなものが多く、革靴など内側まで丁寧な作りに感心した」と話していた。
売り上げが回復、デザイン性の高い商品がSNSで話題に
法務省などによると、受刑者による刑務作業は2024年3月時点で全国74の刑務所などで実施されており、市販される製品はそのうち60か所で約4350人が携わっている。従来はタンスやテーブルといった大型家具が主流だったが、集合住宅の増加による需要減や受刑者の高齢化などで売り上げが減少。1996年度には約61億1500万円あった売り上げが、2019年度には約8億4600万円、2020年度はコロナ禍の影響もあり約3億6900万円まで落ち込んだ。
しかし近年、各刑務所が作る商品の種類が豊富になり、SNSなどで話題を集めたことで、2024年度には約8億1200万円まで回復した。例えば函館少年刑務所で考案された「マル獄シリーズ」は、藍染めの帆布に円で囲った「獄」の一文字が印象的で、前掛けやバッグ、小物入れなどが丁寧な作りとデザイン性で注目されている。
人気キャラクターとの協業や流行に合わせた製品も登場
さらに、サンリオの「ハローキティ」を絵付けしただるま(新潟刑務所)や、地元ラグビーチームのマークをあしらったバッグ(府中刑務所)など、人気キャラクターなどとの協業製品も人気を博している。アウトドアで使えるバーベキュー用のコンロなど、流行に合わせた商品も登場し、売り上げを伸ばしている。
受刑者は専門技術を持つ作業専門官から指導を受けており、製品の品質は高い。公益財団法人「矯正協会」刑務作業協力事業部副部長の桜井智さんは「利潤を得ることを第一目的にしていないので価格は安い」と説明する。昨年12月の全国矯正展では、レジに行列ができるほど多くの来場者が訪れていた。
エシカル消費にも貢献、社会課題の解決につながる購入
製品の売上金の一部は犯罪被害者支援団体の助成にあてられるため、消費者が社会課題の解決を考慮して商品を購入する「エシカル(倫理的)消費」にもつながる。ニッセイ基礎研究所准主任研究員の小口裕さんは「善意だけで買ってもらうのは難しいこともある。しかし、デザイン性や品質を高めた上で『実はエシカル』といった製品であれば、買いたい人が増えるのではないか」と指摘する。
昨年の刑法改正による拘禁刑の導入で、受刑者への刑務作業は義務でなくなり、それぞれの受刑者に合わせた矯正プログラムを受けることになった。矯正協会は「良い製品を作り続けられるようにしていきたい」と意欲を示している。
オンラインでも購入可能、大手家電量販店も販売に協力
刑務所作業製品は「CAPIC(キャピック)」のブランド名で、東京都中野区の矯正協会併設の売店「キャピックショップなかの」などで取り扱われているほか、公式オンラインショップでも購入できる。大手家電量販店「ヨドバシカメラ」も自社サイトで一部製品を販売しており、担当者は「どれも高品質で価格も手頃。これからも販売に協力していきたい」と話している。



