補正予算案の概要と問題点
政府は総額3兆1135億円の2026年度補正予算案を閣議決定し、国会に提出した。柱は「中東情勢等対応予備費」の創設で、2兆5000億円を家計支援などに充てる内容だ。7~9月の電気・ガス料金については標準的な家庭で5000円程度を支援する方針で、既存の予備費から5135億円を拠出したため余裕がなくなった。さらに3月からガソリン価格補助を再開したことで、予備費が底をつく懸念が生じ、新たな枠組みで予備費を積み増した形だ。
国民の中東情勢や物価高への不安に迅速に対処する姿勢を示す狙いがあるが、予備費は国会の議決を経ずに閣議決定のみで使い道を決められるため、放漫財政の印象を与える恐れがある。特に3月に再開したガソリン補助制度は、1リットルあたり170円程度に価格を抑えるもので、問題が多い。節約の必要性があるにもかかわらず、価格を抑えて需要を増やすことになり、脱炭素にも逆行する。富裕層や大企業にまで過度に恩恵を与え、効率性も悪い。
財政負担と市場への影響
ガソリン補助制度はコロナ禍以降続き、これまでに9兆円規模が投じられた。今後も月に4000億円の負担が続く見込みだ。政府・日銀は円安を懸念し、11兆円を超える過去最大の為替介入を行ったが、わずか1か月で効果は消滅し、一時1ドル=160円台を記録した。市場が財政不安を強めれば円安と物価高の連鎖が続き、物価高対策も帳消しになる恐れがある。
首相の見直し表明と今後の課題
高市首相は国会で「支援単価を含め支援のあり方を柔軟に検討する」とガソリン補助の見直しを表明した。具体策を詰めるとともに、予備費は中小企業の支援策などに確保しておく必要がある。家計支援は重要だが、市場に財政悪化への警戒を強めさせるやり方は逆効果だ。財政規律に配慮し、補助縮小の道筋を明確にすべきである。



