ネパール総選挙、新興政党の躍進に注目 首相候補は若き元ラッパー前市長
ネパールで5日、下院選挙(定数275)の投票が開始された。既存政党への不信感が強まる中、2022年に結党された新興政党・国民独立党(RSP)が大きな支持を集めており、政治地図の変革が期待されている。総選挙の結果は数日以内に判明する見通しだ。
若者主導の反政府デモが背景 既存政党への不信感が高まる
昨年9月、前政権が打ち出したSNS使用禁止策をきっかけに、若者主導の大規模な反政府デモが発生した。汚職や縁故主義への不満が爆発し、治安当局との衝突などで若者ら77人が死亡する悲劇的な事態となった。このデモにより、カドガ・オリ前首相(74歳)率いる政権は退陣に追い込まれた。
デモ弾圧への関与を否定するオリ氏は、昨年12月の統一共産党(UML)党首選で再選を果たし、政界復帰を目指している。しかし、若者を中心に旧体制の象徴として反発は根強く、既存政党への信頼は大きく揺らいでいる。
新興政党RSPが支持拡大 首相候補は35歳の元ラッパー前市長
こうした状況下で、汚職対策の強化や政治刷新を訴える国民独立党(RSP)が急速に支持を広げている。同党は現在、下院で20議席を占める第4党だが、今回の総選挙で躍進する可能性が高いと見られている。
特に注目されているのが、RSPの首相候補であるバレンドラ・シャー氏(35歳)だ。元ラッパーとして若者に人気を博し、首都カトマンズの前市長を務めた経歴を持つ。今年1月に市長を辞職し、首相候補としてRSPに加わった。シャー氏は、オリ前首相の地盤である東部ジャパ選挙区から出馬し、政治変革を強く呼びかけている。
若者の期待と政治変革への願い
カトマンズで投票に参加した大学生、バルシャ・マハルジャウさん(21歳)は次のように語る。「古い政党の政治家は約束を実行しませんでした。新しい政党の議員を増やし、若者の声を政治に反映してほしいと強く願っています」。この声は、多くの若い有権者に共通する思いを代弁している。
ネパールでは、2015年に新憲法が公布されて以降、単独過半数を獲得した政党は存在しない。これまでUMLやネパール会議派(NC)などの主要3政党が連立相手を変えながら、交互に首相の座に就いてきた。
政治構図の変化に期待
前回2022年の総選挙では、NCが下院第1党となり、UMLがそれに続いた。2024年7月には、ともに80弱の議席を持つNCとUMLによる連立政権が発足し、オリ氏が首相に就任している。
しかし、RSPが今回の総選挙で大幅に議席を伸ばせば、長年続いてきたこの政治構図が大きく変化する可能性がある。若者を中心とした有権者の声が、実際の政治にどのように反映されるか、国内外から注目が集まっている。
投票は全国で行われ、多くの有権者が投票所に列をなした。最終結果の発表まで、緊張感が高まっている。
