北海道図書館研究会の会長を務める加藤重男さん(62歳)が、このたび平成の大合併が行われる前の旧212市町村すべての図書館および図書室を訪れる偉業を達成しました。すでに2024年11月には現在の179市町村すべての訪問を完了していましたが、さらにその歩みを進め、旧市町村を含めた完全制覇を成し遂げました。最初の訪問から実に約8年の歳月を要したことになります。
合併による図書館の変化を追いかけて
加藤さんは、もともと河出書房新社(東京)で司書として勤務していましたが、2018年に札幌へ移住しました。2023年に刊行された『わが町を知ってもらうなら! 北海道の図書館員が薦めるブックガイド』の制作に関わったことをきっかけに、道内約50館を巡りました。この経験から全179市町村の制覇を志し、鉄道やバスといった公共交通機関を利用して地道に各館を訪問し、司書やスタッフとの交流を深めてきました。
さらに旧町村まで訪問しようと思い立ったのは、合併によって図書館がどのように変化したのかを自分の目で確かめたかったからです。179市町村制覇の時点で既に訪れていた旧町村の館もあったため、新たに回ったのは約20館程度だったといいます。旧212市町村の達成日は5月13日で、最後の訪問先は旧音別町の釧路市音別町ふれあい図書館でした。
地域の個性を大切にする姿勢に感銘
その図書館のエントランスには「音別・昔の暮らし」と題した模型が展示されており、加藤さんは「合併しても音別の個性を大切にしていると感じた」と語ります。一方で、旧歌登町(現枝幸町)の図書室のように、閉鎖されて訪問が間に合わなかったケースもいくつかありましたが、図書室があった建物自体は訪ねたそうです。
合併後も利用者数が増加した事例も
函館市と合併した南茅部、椴法華、恵山、戸井の旧4町村では、それぞれ図書館が閉鎖されたり縮小されたりしましたが、基幹図書館である函館市中央図書館が予約図書を各地区に配送するサービスを実施した結果、以前よりも通算の利用数が伸びているといいます。加藤さんはこの事例を挙げ、「合併によって閉鎖された館もあるが、基幹図書館との連携でむしろ住民サービスが向上しているケースもある」と振り返りました。
図書館に期待する新たな役割
加藤さんは、芽室町図書館で昨年開催された、段ボールベッドで館内に泊まってみる防災イベントを例に、「図書館は読書や調べものだけでなく、さまざまな企画を考え、新しい機能を生み出してほしい」と期待を寄せます。すでに図書館巡りは2周目に入っており、「生きている限り回り続けます」と笑顔を見せました。



